アメリカが進める、月を周回する新たな宇宙ステーションと月探査の計画などについて、国の宇宙政策委員会は宇宙の平和利用の推進などの意義があるとして参加する方針をまとめました。一方で、厳しい財政事情を踏まえてメリハリをつけて参加することに留意すべきだとしていて、政府は近くこの方針を正式に決定するものとみられます。
アメリカは、2024年までに月を周回する新しい宇宙ステーション、「ゲートウェイ」の運用を始めて、宇宙飛行士を月面に送り込み、将来的には火星を探査する計画を策定していて、各国に参加を呼びかけています。
国の宇宙政策委員会は、宇宙の平和利用の推進や日米協力を深めるなどの外交・安全保障上の観点や、高い技術力を通じた国際的なプレゼンスの向上などで意義があるとし、ゲートウェイを含めた月探査計画に参加する方針をまとめました。
協力する項目としては、酸素を供給する装置やバッテリーなどの日本の高い技術を生かした機器をゲートウェイに提供することや、無人の宇宙輸送船での物資の補給、月面に関するデータの共有、それに、月面を移動する月面探査車の開発の、合わせて4つを挙げ、日本の強みをいかした分野で戦略的に参加できるよう調整を進めることが適切だとしています。
一方で、厳しい財政事情を踏まえて費用対効果の高いものに限ってメリハリをつけて参加し、日本人宇宙飛行士の月面着陸などを通じて、宇宙先進国としてのプレゼンスを確保することなどに留意すべきだとしています。
政府はこの方針を近く正式に決定するものとみられます。
この計画については、これまでにカナダが参加を表明したほか、ヨーロッパは来月にも参加を決定する見通しです。
宇宙政策委員会の葛西敬之委員長は「早く参加を表明することによって、日本が得意とする分野で貢献するチャンスが増えることになる。費用対効果など難しい問題も多いが、これからも検討を継続していきたい」と話していました。