週刊文春に、当時所属していた女優のん(26=能年玲奈から改名)にパワハラしたなどとする記事を掲載され名誉を傷つけられたとして、芸能事務所レプロエンタテインメントと同社の本間憲社長が、発行元文芸春秋と当時編集長にそれぞれ損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、被告側に対して、レプロ社に計330万円、社長に計110万円の計440万円を支払うよう命じた。
4月19日には東京地裁で、レプロ社に計550万円、社長に計110万円を支払いを命じる判決が出され、文春側が控訴していた。
週刊文春編集部は、文春オンラインで「本日の判決は芸能界健全化の流れと逆行するもので、大変不当な判決と受け止めています」などと長文のコメントを発表した。
以下は文春のコメント。
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本日の判決は芸能界健全化の流れと逆行するもので、大変不当な判決と受け止めています
現在、芸能事務所とタレントとの間の契約が、大きな社会問題となっています。
2019年8月27日付朝日新聞記事によれば、公正取引委員会は、自民党の競争政策委員会において、どのようなケースが独占禁止法上の問題となるかを例示しました。
公取委が「問題となり得る」として例示したのは、
(1)移籍、独立をあきらめさせる
(2)契約を一方的に更新する
(3)正当な報酬を支払わない
(4)出演先や移籍先に圧力をかけて芸能活動を妨害する
などの行為です。この4つの例が、本件記事で指摘し、その後も能年氏本人が直面している問題にすべて当てはまることは、誰の眼にも明らかです。
社会全体が今、“奴隷契約”と評される芸能事務所とタレントとの不均衡な契約を是正しようとしています。こうした問題を世に問う先駆けとなったのが2015年4月に発表した本件記事でした。
タレントが公正な契約の下に活躍できる芸能界を、誰もが望んでいるはずです。今回の判決を機に、芸能事務所とタレントの関係がどうあるべきかについて、多くの方々に改めて議論いただきたいと考えています。