ヤミ金の新たな手口です。客とのやり取りは無料通信アプリ「LINE」を使い利息などの回収は宅配便で行っていました。警視庁は、ヤミ金グループで金の回収役だった男女6人を12日にも書類送検するとともに、摘発を逃れるため手口がより巧妙化しているとみて実態解明を進めています。
捜査関係者によりますと、このヤミ金グループはインターネット上で「ラッシュ」や「ワンダー」などの業者名で客を集め、法律で定められた上限を大幅に上回る金利で違法に金を貸していたということです。
申し込みをすると、その後のやり取りは無料通信アプリ「LINE」を使い、利息などは現金で宅配便の集荷センターに送るよう指示していました。客と対面せず、連絡先の電話番号や金融機関の口座を明らかにしないことで捜査から逃れる狙いがあるとみられています。
警視庁は、東京都内などに住む4人に違法に金を貸し付け、31万円余りの利息を受け取ったとして、金の回収役の60歳の男ら男女6人を12日にも出資法違反の疑いで書類送検する方針です。
警視庁によりますと、これまでの事情聴取に対していずれも容疑を認めているということです。
警視庁はこのグループの実質的な経営者などについても捜査するとともに、ヤミ金の手口がより巧妙化しているとして取締りを強化しています。
【金を借りた男性「違法な業者だと思った」】このヤミ金グループから金を借りた50代の男性は、「借金を申し込むとLINEのIDを教えてほしいと言われた。また、返済の時には現金だと分からないようにパンフレットの間に挟んで宅配便で送るよう具体的に指示があった。違法な業者だと思い嫌だったが、金を借りるためにしかたなく従った」と話していました。
【巧妙化する手口】強引な取り立てなどが大きな社会問題となって警察の取締りなどが強化されたこともあり、ヤミ金グループは摘発を逃れるために巧妙に手法を変化させています。
かつてはビルの1室に事務所を構えている業者も多くありましたが、その後、摘発されないよう携帯電話だけで金の貸し付けから取り立てまで行う、いわゆる「090金融」が目立つようになり、客と対面することも少なくなりました。
最近では、捜査でたどりにくくするために連絡手段として携帯電話ではなく無料通信アプリを使うケースが増えているということです。
さらに利息などを取り立てる際も口座への振り込みではなく宅配便などで指定した場所に現金を送らせて、回収役が取りに行くという手口が出てきています。