新カローラ、大衡で生産「東北活気づけたい」

◎トヨタ・チーフエンジニア 安井慎一氏
トヨタ自動車は今月、改良した主力の「カローラ」を発売した。自動ブレーキなどの安全装置を搭載したの が大きな特徴で、生産はトヨタ自動車東日本宮城大衡工場(宮城県大衡村)が担う。トヨタ本社の開発責任者、安井慎一チーフエンジニア(52)に、新モデル に込めた思いを聞いた。(報道部・安住健郎)

-自動ブレーキなど予防安全システムの搭載は、一部高級車を除いてトヨタで初めてとなる。
「赤外線レーザーとカメラで前方の障害物を検知し、時速10~80キロの範囲であれば、運転者が気付かなくてもブレーキが作動する。さまざまな使われ方を考え、日米欧で1年以上かけて(走行距離)約100万キロ以上のテストをしてきた」
「上級タイプは標準搭載し、オプションでも5万円台で提供する。パッケージ化したことにより、コストを抑えることができた」

-消費者にとって安全は大きなキーワードだ。
「販売店を回っていても、年配のお客さまはもちろん、そのお子さんも親御さんを心配されて『こういう装置はないの?』と聞かれる。予防安全システムの必要性はずっと感じていた」

-デザイン的にも若返った感がある。
「セダンタイプのアクシオは3年前にフルモデルチェンジしたが、ちょっとずんぐりしているという意見が寄せられていた。60代以降がメーンターゲットだ が、皆さま実際にはヤングアットハート(心は若い)。その期待に真っ向からお応えしたいと思った。幅広い年齢層が乗れるワゴンタイプのフィールダーと合わ せ、よりシャープに、スポーティーな感じを出した」

-カローラが引き続き、東日本大震災の被災地で生産されることについての思いは。
「より一層カローラファンが増えれば、生産台数も増やせて東北を活気づけられる。一番幅広いお客さま層を持っているのがカローラ。先進の安全装備や若々しいデザインで琴線に触れるような車ができたと思う」
「東北にゆかりのある車でもある。初代カローラは1966年に発売されたが、翌年出たカローラバンから当時の関東自動車工業岩手工場(現トヨタ東日本岩手工場、岩手県金ケ崎町)で生産が始まった。カローラをいっぱい造ることで、東北から日本を元気にしていきたい」

[や すい・しんいち]明大院修了。88年入社。製品企画部でファンカーゴや初代bB、イストなど主に若者向けの車開発に携わり、02年からコンセプトプラン ナーとしてカローラの開発に携わる。現職は製品企画本部で全世界向けのカローラやオーリスのチーフエンジニア。愛知県出身。

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