新キャンパスを「次世代車」実証拠点化へ 東北大・青葉山

東北大は、整備を進めている仙台市青葉区の青葉山新キャンパスについて、次世代自動車の実証実験拠点とすることを決めた。電気自動車(EV)を軸に安全性を高めるシステムなどを搭載した車両を開発し、2015年度からはキャンパス内の移動手段として使う社会実験にも乗り出す。先端分野の研究や技術開発を通じて、人材育成と産学連携推進の弾みとしたい考えだ。
 実証試験は教授ら15人でつくり、次世代車関連の技術開発に取り組む学内横断組織「次世代移動体システム研究会」が中心になって行う。今回、開発する車両には自律走行システムや走行補助の画像表示システム、路面などの装置から非接触で給電するシステム、新型モーターなどを組み込むことを想定している。
 首都圏や九州の大学の技術開発と差別化を図るため「積雪・寒冷地仕様」といった次世代車づくりを狙う。
 新キャンパス内の道路で車両を動かすのは13年度から。構内にはシステムや走行性能を評価・検証する専用施設も整備する。社会実験は敷地内に仙台市地下鉄東西線「青葉山駅」(仮称)が開業するのに合わせて始め、駅を拠点にキャンパス内を巡るようにする。
 車両製作には地元企業も参加できるようにし、EVなどの普及を見据えて東北の企業の技術力向上にもつなげる。
 東大や弘前大とも連携する方針。総事業費は未定だが、国などの補助金を活用し、学内からの支援も受ける見込み。
 研究会の会長を務める内山勝東北大大学院工学研究科長は「最先端の技術や研究を結集し、安全と環境に対応した次世代移動体を造り、新たな社会インフラシステムも提案したい」と話す。
 東北大はことし2月、産学連携拠点「情報知能システム(IIS)研究センター」を設立するなど、次世代車の技術開発を活発化させている。
<東北大青葉山新キャンパス>仙台市青葉区荒巻のゴルフ場だった旧宮城県有地を整備、雨宮キャンパス(青葉区)の農学部・農学研究科と、片平キャンパス(同)の電気通信研究所を移設する。敷地面積は81万平方メートルで、事業費は二百数十億円の見込み。2011年4月の開学予定。移転財源の一部となるキャンパスの売却遅れなどで、移転完了は12年度以降にずれ込む見通し。

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