新ブランド「みやぎサーモン」出荷 水揚げ直後「生け締め」

 宮城県漁協などでつくる「みやぎ銀ざけ振興協議会」は今月、刺し身用の特選ギンザケ「みやぎサーモン」の出荷を開始した。全国一の養殖生産量を誇る県産ギンザケの新たなブランドとして、7月末まで首都圏など全国の市場に売り込む。
 みやぎサーモンは水揚げ直後に船上で、魚の神経を抜くなどする「生け締め」の処理を施すのが特色。鮮度を保持し、うま味を増すなど品質の向上を図った。
 県内の産地に先駆け、南三陸町戸倉地区の漁業者6人が水産庁職員から技術指導を受け、生産を始めた。出荷も大きなコンテナなどに氷詰めするのではなく、2匹ずつを個別に箱詰めして発送するなど工夫した。
 県産ギンザケは餌の改良などで寄生虫の不安がなく、臭みも少ないが、一般的には加熱用で調理されることが多かった。協議会は昨年3月に設立され、知名度向上や刺し身向け需要の掘り起こしなどで販路拡大を模索してきた。
 現在、通常出荷のギンザケ浜値は1キロ550円程度だが、みやぎサーモンは5~6割ほど高値。北欧などからの輸入サケ類の価格動向に左右されない付加価値と、流通態勢づくりを目指す。
 県内のギンザケ養殖は東日本大震災でいけすの大部分が壊滅。2012年の出荷再開後は価格暴落に直面した。福島第1原発事故の風評被害などに苦しみながら、復興への歩みを進めている。
 県漁協志津川支所の阿部富士夫支所長代理は「消費者の反応が良く、今後も一手間掛けた刺し身のおいしさを発信していく。高品質食材として認知度を上げ、安定取引が可能な態勢を構築したい」と話す。

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