新卒の「売り手市場」傾向強まる 東北主要企業の4割が来春採用増

東北に本社を置く主要企業の2023年春の新卒者採用計画で、全体の40・0%が22年春より採用を増やす方針であることが30日、河北新報社のアンケートで分かった。新型コロナウイルスの影響が一段落したと判断した企業などが、採用活動を活発化させている。

 過去5年間の採用計画の推移はグラフの通り。

 「増やす」は22年春の計画を尋ねた前回調査から14・4ポイント増と大幅に上昇し、09年以来14年ぶりに40%台に届いた。「前年並み」は10・8ポイント減の31・1%、「減らす」は4・9ポイント減の6・7%。新型コロナの影響で前回急増した「採用しない」は例年並みの3・3%だった。

 業種別では、銀行は15行中7行が「増やす」、3行が「前年並み」と回答した。ある銀行は「コロナ禍で地元志向の学生が依然多く、地方金融機関が第1志望になるケースがある」と、学生の就職活動における地方分散の傾向を解説した。

 食品・外食は4社中2社が採用増の方針。緊急事態宣言などに基づく行動制限がなくなり「コロナ禍が落ち着いて外食業への不安も軽減される」と期待する声が聞かれた。ここ数年採用を凍結していた企業が採用を再開する動きもあった。

 百貨店・スーパーは12社中5社が「前年並み」の採用を維持。「増やす」と「減らす」は各1社だった。

 新卒採用に積極的な企業が多いため、23年春の採用環境を「前年より売り手市場」とみる企業は前回調査から38・9ポイント増の52・9%に上った。ピーク時の採用規模との比較は「ピーク時とほぼ同水準」が最多の45・9%。「ピーク時の5~8割」が28・2%だった。

 100人超の採用を計画するのはアイリスオーヤマ(仙台市)、東北電力(同、東北電力ネットワークと合同)、キオクシア岩手(北上市)、ヨークベニマル(郡山市)、ユアテック、サイバーコム(仙台市)、第一貨物(山形市)、イオン東北(秋田市)、カメイ(仙台市)、薬王堂(盛岡市)の10社だった。

 アンケートは東北に本社や本店を置く上場企業など120社に実施。91社(75・8%)から回答を得た。

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