世界保健機関(WHO)は11日、中国を中心に流行している新型コロナウイルスによる病気の正式名称を「COVID-19」に決定したと発表した。
これまで使われていた「コロナウイルス」という単語はこの病気が属するウイルス群の名称で、病気そのものを指してはいなかった。
研究者らは、混乱や特定の集団または国に汚名を着せることを避けるため、正式名称を決めるよう求めていた。
一方、この新型ウイルス自体の名前は、国際ウイルス分類委員会(ICTV)によって「SARS-CoV-2」と名付けられている。
COVID-19による死者は1000人を超え、感染者も4万人以上に達している。
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COVID-19は「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」という単語と、この病気がWHOに報告された「2019年」の組み合わせでできている。
テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長はジュネーヴで会見し、「地理的な位置や動物、特定の個人や集団に言及せず、かつ発音しやすく、病気そのものに関係のある名前を探さなければなからなかった」と説明。
「不正確だったり反感を引き起こすような名前の使用を阻止するためにも、正式名称を決めるのは重要なこと。将来、他のコロナウイルスが流行した時の基準フォーマットにもなる」と述べた。
初期対応めぐり政府高官を解任
中国の衛生健康委員会によると、COVIDが発生した湖北省では10日に新たに103人が死亡。中国国内の死者数は11日時点で1017人に達し、2002~2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を超えた。
また、中国国内だけで4万2694人以上の感染が確認されている。ただ、新たな感染者数は前日の3062人から20%少ない2478人だった。
COVID-19発生当初の対応について、中国当局への批判が高まっている。
新型ウイルスの存在をいち早く警鐘を鳴らしていた医師の李文亮氏が当局に抑圧され、その後COVID-19で死亡したことも、国民からの怒りを買った。
こうした事態を受け中国政府は、COVID-19への対応を誤ったとして、湖北省健康委員会の党書記や委員長などを「解任」している。
さらに、警察が李氏をどのように取り扱ったのかを調査するため、国内トップの汚職調査チームを湖北省に派遣した。
こうした中、WHOでは、アウトブレイク(大流行)への対処法が協議されている。
ゲブレイエスス事務局長は、必要な資源が十分にあればCOVID-19を抑える現実的な機会はなお残されていると指摘。その上で、中国当局の対策について、「世界各国への感染拡大を遅らせている」と称賛した。
一方、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は、COVID-19による中国経済の停滞が、世界全体に影響を及ぼすだろうと警告した。
(英語記事 Coronavirus disease named Covid-19)