新型コロナ、もしもの時は… 仙台市民の場合

仙台市内は新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かう兆しもなく、新規感染者は高止まりの傾向が続く。市内の療養者は22日午後1時時点で3463人。うち自宅療養者が2710人と約8割を占める。もしも自分が陽性者や濃厚接触者になったら、療養支援や自宅待機はどうなるのか。いざという時のため、一般的なパターンをまとめた。(報道部・古賀佑美)

「陽性」39歳以下は原則自宅療養

 医療機関のPCR検査や市保健所の行政検査で「陽性」が判明すると、各区の保健所支所から受検者に電話連絡がある。氏名、住所、年齢、発症日、症状の経過などを伝え、同居家族ら濃厚接触した可能性のある人がいれば報告する。

 陽性者は40歳以上か、基礎疾患がある場合は宿泊療養を勧められる。県医療調整本部の医師が、重症化の恐れがあると判断すれば入院する。一方、重症化リスクの低い39歳以下は原則、自宅療養となる。

 宿泊療養はホテルまで専用車で移動する。看護師か保健師が常駐し、体調の変化に即応する態勢を敷く。朝夕の1日2回検温し、看護師らに報告する。原則、部屋から出られず食事は1日3回、弁当が届く。洗濯機は使えず衣類は部屋で手洗いする。療養期間が終わり、自宅に戻る際は交通費が自己負担となる。

 自宅療養の場合、健康観察にはスマートフォンやパソコンを使う。毎日午前9時までに体温や症状を「みやぎ電子申請サービス」を通じて入力し、保健所支所に報告する。国の管理システム「HER―SYS(ハーシス)」の自動音声電話に対し、番号を押して回答する形でも報告できる。

 食料品や日用品の配達は申し込みが必要で、一度に1週間分が届く。「応援パック」は米飯15食分、缶詰、スポーツドリンク、トイレットペーパーなど28品の詰め合わせ。乳幼児用は0歳児、1・2歳児、3歳児の3種類あり、おむつや粉ミルクなど5品が入る。

 療養中に症状が悪化した場合は、健康観察の際に報告すると、保健所が「健康観察支援チーム」を派遣する。看護師が直接、健康状態を確認。医師は電話やビデオ通話を通じ、投薬や入院の必要性を判断したり、薬を処方したりする。

「濃厚接触」陰性判明でも待機継続

 濃厚接触者は陽性者とどこで接触したかによって対応が異なる。大きく分けて(1)家庭、病院、高齢者施設の場合(2)学校、保育施設、職場の場合―の2パターン。無症状者は無料の検査を受けられないケースがあるほか、検査で陰性と判明しても自宅待機が続くこともあり、注意が必要だ。

 市保健所によると、濃厚接触者の定義は「陽性者の発症日か、検体採取の2日前までの『感染可能期間』に、陽性者とマスクを着用せず、手の届く距離で15分以上会話した人」という。

 陽性者が同居人だったり、接触場所が高齢者施設や病院だったりすると、保健所の積極的疫学調査を受ける。行動歴から濃厚接触者になれば、市内のドライブスルー検査場(場所は非公表)に行くよう促される。高齢者ら検査場に足を運べない人が多い場合は、訪問検査も選択できる。

 学校、保育施設、職場は積極的疫学調査を施設管理者が代行する。管理者に濃厚接触者と判断されたら、自宅待機しなければならない。学校や保育施設は校長や園長が濃厚接触者をリスト化し、保健所が確かめて「お墨付き」を与える。

 自宅待機中、無症状なら保健所の無料検査は受けられない。ただ、事業所によっては自主的な検査を促す所もある。万が一、症状が現れた場合は医療機関を受診し、検査を受ける。かかりつけ医がいない人は、24時間対応する受診・相談センター=022(398)9211=に連絡する。

 濃厚接触者は陽性者と異なり、自宅待機中に食料品などの配達や看護師らの訪問支援を受けられない。買い物が必要になったら、どうすればいいのか。市保健所は「通信販売を使うなどして、外出はできるだけ控えてほしい」と説明する。

自宅待機期間、7業種は短縮可

 陽性者の療養期間と濃厚接触者の自宅待機期間は、症状の有無や同居人かどうか、職種によって異なる。療養中や自宅待機中に症状が現れれば、それまでの期間はリセットされる。

療養期間

 症状がある陽性者は発症日を0日目にして、10日間療養する。解熱剤を飲まなくても熱が下がり、呼吸器の症状が改善した「症状軽快」から72時間経過していることが解除条件となる。

 無症状の陽性者は検体の採取日を0日目にして7日間療養し、解除される。途中で症状が現れた場合は、発症日を0日目にさらに10日間の療養が必要になる。

待機期間

 陽性者と同居する濃厚接触者は、陽性者の発症日・検体採取日と、家庭内でマスク着用などの感染対策を始めた日のいずれか遅い方を0日目とし、7日間は自宅待機する。無症状の陽性者が途中で発症した場合は比較対象が変わり、自宅待機期間はさらに延びる。

 陽性者と同居していない濃厚接触者は、最後の接触日を0日目として7日間の自宅待機が必要になる。無症状の陽性者が途中で発症しても、最終接触日が起点となるため、待機期間が延びることはない。

 社会機能の維持に欠かせない「エッセンシャルワーカー」は待機期間を短くできる。市は対象業種に(1)医療(2)福祉サービス(3)インフラ運営(4)ごみ処理(5)流通・運送サービス(6)行政サービス(7)入学試験―を挙げる。

 陽性者と同居の場合は療養期間の0日目、同居していない場合は最終接触日を起点に自宅待機し、4、5日目の検査でいずれも陰性が確認されれば、待機期間の5日目に解除となる。

濃厚接触者と同居

 同居家族が濃厚接触者になったら、残りの家族はどうすればいいのか。市保健所によると、特段のルールはないという。ただ、濃厚接触者が陽性になれば、残りの家族が濃厚接触者になる可能性がある。自宅待機を求めるかどうかは、事業所ごとに判断が分かれる。
市保健所の担当者は「自分の体調や濃厚接触者の体調の変化に注意し、症状が出たら受診・相談センターに連絡してほしい」と話す。

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