新型コロナ、ウイルス感染で免疫系が過剰反応 命の危険も

【AFP=時事】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最も憂慮すべき特徴の一つに、免疫系が急速に過剰反応を起こす「サイトカインストーム」として知られる現象がある。

 多くのCOVID-19患者が軽度の症状を経験するのみで済む一方で、最も重篤な患者では命を落とすほどの激しい免疫反応が新型コロナウイルスに対して起きる。専門家らは、こうした反応についてはサイトカインストームで説明できるとの考えを示している。

 以下は、約20年前に初めて明らかになったサイトカインストームについて分かっていることをまとめた。

■サイトカインストームとは

 サイトカインは免疫系の作用の一環として分泌されるタンパク質群で、感染による攻撃にさらされていると体が感じると炎症を誘発する。

 だが、今回のパンデミック(世界的な大流行)を引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が肺に侵入した場合などの一部ケースでは、免疫系が暴走状態になることがあると考えられる。免疫系が暴走すると、分泌されるサイトカインの濃度が制御不能となる、いわゆるサイトカインストームが起き、患者が死亡する恐れがある。

 肺における「過剰炎症の嵐」は、重症急性呼吸器症候群(SARS)などの過去に流行したコロナウイルスでも合併症の一つだった。2002~2003年に主にアジアで発生したSARS流行では774人が死亡、2012年の中東呼吸器症候群(MERS)の流行では866人が死亡した。

 サイトカインストームはまた、2005年に流行した鳥インフルエンザ(H5N1型)でみられた高い致死率の要因の一つとされている他、第1次世界大戦(World War I)末期に大流行し、約5000万人の死者を出したスペイン風邪のような過去のパンデミックにも関係していた可能性があると、専門家らは考えている。

■突然悪化する病状、最初の症状から7日~10日

 世界保健機関(WHO)の報告によると、新型コロナウイルスで入院した患者の大半が肺炎を患うという。

 患者は最初の症状が現れてから7~10日前後に突然病状が悪化するケースが多い。

 英ロンドンのユニバーシティー・カレッジ病院(University College Hospital)の炎症専門家、ジェシカ・マンソン(Jessica Manson)氏は、「これまでに集められた情報を見る限り、COVID-19の重症患者の一部グループについては、サイトカインストーム症候群を発症している可能性がある」と指摘している。

■どうすれば抑えられるか

 医師や科学者にとっての悩みの種は、患者の免疫防御力を低下させずにサイトカインストームを沈静化するにはどうすればよいかという問題だ。

 米アイオワ大学(University of Iowa)の免疫学者スタンリー・パールマン(Stanley Perlman)教授は、「現時点では」有効な治療法が存在しないことを認めている。「現在、最良なアプローチについての検討が行われている。分かっていることは、コルチコステロイドが有害であり、悪い作用の方が大きいということだ」

【翻訳編集】AFPBB News

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