新型コロナ、感染爆発起きず=若年層の多さ一因―経済の打撃深刻・アフリカ

【ロンドン時事】アフリカでの新型コロナウイルス感染者は先週、10万人を超えた。今のところ欧米のような爆発的な感染拡大は起きず、死者は24日現在、約3300人に抑えられている。世界保健機関(WHO)はアフリカの人口の60%が25歳未満の若年層であることも要因の一つとみるが、「保健システムは脆弱(ぜいじゃく)で、感染が突然増加すれば対処は難しい」(モエティ・アフリカ地域事務局長)と警告している。南アフリカの最大都市ヨハネスブルクで、食料の寄付の受け取りを待つ子どもたち=20日(EPA時事) © 時事通信 提供 南アフリカの最大都市ヨハネスブルクで、食料の寄付の受け取りを待つ子どもたち=20日(EPA時事)

 WHOによると、アフリカ54カ国で感染が確認された人は24日時点で約11万人。全世界の2%程度だ。南アフリカが約2万1000人(死者約400人)と最多で、これに約1万6500人のエジプト(同730人)が続く。アフリカ最大の人口を抱えるナイジェリアは約7500人(同220人)にとどまっている。

 新型コロナは高齢者が重症化しやすく、欧州では60歳を超える人が死者の95%近い。モエティ氏は22日の声明で「若者が多いことが死者の少なさにつながった可能性がある」と述べた。

 国際通貨基金(IMF)のセラシエ・アフリカ局長は20日、英シンクタンク主催のオンライン講演で「人口構成や気象条件が影響しているのは確かだろうが、政策がもたらした効果は小さくない」と指摘した。南アフリカでは3月に国境封鎖や夜間外出禁止令が出され、ナイジェリアでは州を越えた移動も禁止された。同局長は社会・経済活動制限を迅速に導入したことが感染拡大の阻止に寄与したとの見方を示した。

 一方で、これらの制限が経済に深刻な打撃を与えるのは避けられない。ナイジェリアやアンゴラといった産油国には油価の大幅な下落がのしかかる。IMFは4月、サハラ以南のアフリカ地域の今年の実質経済成長率を1.6%減と予測した。セラシエ局長は「見通しがさらに悪くなるのを懸念している」と述べた。

 南アフリカやナイジェリアなどは5月に入り、経済再開に向け制限の緩和に動きだしたが、感染拡大につながる恐れも指摘されている。WHOは先に、アフリカで新型コロナの封じ込めに失敗すれば、1年間で最大4400万人が感染し、19万人の死者が出る恐れがあると警告している。 

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