新型コロナが直撃、高級食材が値崩れ 大トロは在庫の山

新型コロナウイルス感染拡大の余波が、高級食材を直撃している。訪日外国人客の激減に日本人が外食を控える動きも加わり、カニやクロマグロ、和牛などの価格が2〜5割近く下落。生産者には苦境だが、消費者には普段は縁遠い食材を気軽に自宅で味わえるチャンスだ。高級食材を安売りするスーパーも出始めた。

 北海道土産を買うスポットとして知られる札幌市中心部の二条市場。歩道に面して突きだした店の棚には、新鮮なカニなどの高級海産物が並ぶ。普段なら日中は外国人客を中心ににぎわうが、18日昼に訪れると出歩く観光客はゼロ。手持ちぶさたの店員がスマートフォンを見ながら時の流れをやりすごす。「宮田商店」社長の佐々木一夫さん(69)はため息をつく。「道が『緊急事態宣言』を出した後、客がびたーっといなくなったよ」

 激減したのは外国人の姿だけではない。

 送別会シーズンの3月は、本来ならば飲食店にとってかき入れ時。だが、ある札幌・ススキノの海鮮居酒屋に舞い込んだキャンセルはすでに数百件。3月の売り上げは前年よりも8割以上減る見通しという。

 こうした需要の急減を受け、札幌市中央卸売市場では、タラバガニの標準的な価格が6日に1キロあたり1080円に。2月の平均価格の3分の1以下に落ち込んだ。東京都中央卸売市場で冷凍クロマグロの2月の価格は前年比で16%下落した。なかでも大トロが売れず、業者の在庫が膨れあがっているという。

 最高級のズワイガニとして知られる越前がに。越前漁港(福井県越前町)では、2月末の浜値が例年の半額ほどまで値を下げた。日本人の旅行自粛で地元旅館のキャンセルが相次いだ影響を受けたという。水産庁によると、山口県下関市の卸売市場の3月中旬のフグの価格も前年比で4割も下落しているという。

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