新型コロナだけじゃない…命を落とす危険もある肺炎「加湿器肺」とは!?

新型コロナ対策で、この冬注目が高まっている加湿器 しかし、使い方次第で意外なリスクが…

新型コロナの影響で、売り上げが伸びている加湿器

この冬“コロナ対策”として注目されている「加湿器」。一般的に多くのウイルスが、低温・乾燥した状態だと、感染力が高まるとされ、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、寒冷地における“新型コロナ対策”として加湿器などを使って湿度40%以上にすることを目安に挙げている。 新型コロナなどの感染防止に期待して、加湿器を購入する人が増え、今年、大手メーカー各社は、去年の2倍前後に売上を伸ばしている。しかし、使い方次第で、新型コロナやインフルエンザとは、別の病気を引き起こすことも…。実際に加湿器が原因の肺炎「加湿器肺」にかかったお笑いコンビの「メッセンジャー」あいはらさんがその症状を激白した

熱が上がったり下がったり…2か月続いて「即入院」

「加湿器肺」で1か月間闘病したメッセンジャーあいはらさん

体調を崩し、入院した病院で「加湿器肺」と診断されたあいはらさん。実は、3日間ほど意識不明が続くほど、一時、重症だったという。 芸歴29年目のお笑いコンビ「メッセンジャー」のあいはらさん。漫才師として活躍してきたあいはらさんは、人一倍、喉に気を使い、長年、加湿器を愛用してきた。 メッセンジャーあいはらさん(51)「夜寝るときにものすごい僕(加湿器を)たいてたんですよ。ガラスが真っ白になるぐらい、いつもたいてて。考えてみたら1月に変えて 3月に症状出てるんで、その期間というか、そういうのもぴったりやなあって言われたんですね。」 今年1月、新しい加湿器を購入。すると、その2か月後、体に“異変”が… あいはらさん「朝起きたらちょっと微熱がまず出たというところですね。朝になると熱が上がってきて、自分の部屋を離れていくと、熱が下がるんですよ」 朝、起きると“微熱”があり…部屋を離れると熱が下がる…不思議な症状が2か月も続いたという。 そして5月、体調に不安を感じたあいはらさんが近くの病院でレントゲン検査を受けたところ、「肺炎」と診断され、そのまま大病院を紹介された。 あいはらさん「そこから“コロナ”検査を受けて、 いろいろ待ちだったんですけど、 即入院ですね」

酸素濃度が下がり、命が危ない状態に…ICUで3日間意識不明が続く

あいはらさんの診断書「加湿器肺」と見慣れない病名が…

あいはらさんは“新型コロナ”の疑いもあったため、最初にPCR検査を受け、検査結果を待ちながら、そのまま入院することに。すると、その夜… あいはらさん「酸素濃度がものすごく下がりまして、人工呼吸というか、ICUに入らなければいけないっていう…ちょっと命も危ない、3日間ぐらい意識がなくて」 「(家族に対して)いつでも来れるような状況にしといてくださいっていうふうに、話されてたみたいです。僕は意識がなかったんで」 突然の症状悪化…一時、命が危ぶまれるほどの危険な状態に陥った。 意識が戻ったのは4日も後のこと。疑われた「新型コロナ」はPCR検査の結果が陰性と判明し、医師から投げかけられたのは、思いもよらない言葉だった。 あいはらさん「先生が僕の肺を見たときに、この症状が出てくるっていうのは、家にある加湿器をとりあえず病院のほうに持ってきてくださいと、それを検査しますということだったんです。」 担当した医師は、“朝起きた時だけ発熱する”という特殊な症状から、あいはらさんの寝室に原因があると考え、「加湿器」を検査。すると… あいはらさん「(加湿器を)持って行って、菌を調べて、9割方加湿器だろうと」 「仮の退院で1回、加湿器の無い所で、家帰って寝てみてくださいと。加湿器が無い所で一晩寝て、何も無かったら、きっと原因は加湿器なんだということで…結果、全く症状が出なかったんですよ」 加湿器を廃棄した後は、自宅でも症状があらわれないことなどから、医師が下した病名は「加湿器肺」だった。

感染拡大防止に有効な加湿器だが…重要なのは手入れの仕方

加湿器の中にたまった「カビや菌」が肺炎の原因に

「加湿器肺」とは、手入れが不十分な加湿器によって、空気中に噴出されたカビや菌などを吸い込むことで起きる肺炎。「カビ」などを吸い込むことで起きるアレルギー性の「過敏性肺炎」や、「レジオネラ属菌」の吸引によって起きる「レジオネラ症」(重症の場合“レジオネラ肺炎と呼ばれる”)があり、過敏性肺炎の場合は咳・息切れ・発熱、レジオネラ症の場合は高熱・呼吸困難・筋肉痛・吐き気・意識障害といった症状が出るという。 日本呼吸器学会呼吸器専門医 後藤浩之さん「(ウイルス対策に)加湿器を使うのは確かに有効ですが、使い方によってはカビや菌をまき散らしてしまい“加湿器肺”と呼ばれる病気にかかるケースがあります。肺にダメージを受け、さらに“新型コロナ”にかかかると重症化リスクが高まるので、できるだけ気を付けていただきたい」 ウイルス対策で、この冬注目の加湿器だが、どうすれば「加湿器肺」にかかるのを防ぐことができるのだろうか。

メーカー側は「菌の繁殖」を抑えるための正しい使い方を呼びかけている

加湿器の正しい使い方を説明するアイリスオーヤマの担当者

様々な機能を備えた加湿器を売り出している「アイリスオーヤマ」広報室に、加湿器の正しい使い方を聞いた。   アイリスオーヤマ 広報担当 羽鹿奈々さん「一番本当に大切なのは水の入れ替えのところですね。一番菌が増えやすいところにはなりますので、前日の水は必ず捨てて そのまま使わない。水のタンクは毎日洗っていただきたい。」 まず、水の交換は、毎日行い、継ぎ足しではなく、残った水は捨てて、容器を振り洗いした上で、新しい水を入れる。そして、1週間に1回はトレーやタンクをスポンジなどで水洗い。気になる汚れがあれば、中性洗剤などで洗浄する。 さらに、2週間に1回は、気化式の場合、タンクと気化フィルターを、約1時間クエン酸水に浸け置いた上で、クエン酸水がフィルターに残らないよう、しっかり水道水ですすぐ。スチーム式(加熱式)の場合は、2週間に1回、タンクを約1時間、クエン酸水につけ置く…といった手入れを行って欲しいということだった。 (ただし、超音波式の場合は、超音波装置が壊れる可能性があるので、クエン酸水使用は使用しないこと)

1か月後、番組に復帰したあいはらさん…しかし、今も肺炎の影響が

コメンテーターの仕事に復帰したあいはらさん

「加湿器肺」で一時、意識不明に陥ったあいはらさんだったが、原因が判明して回復。入院から1か月後に番組出演の仕事に復帰した。 メッセンジャーあいはらさん(レギュラー番組に復帰して)「帰ってきました。本当に思ったより経過がよく、早く帰ってくることが出来まして」 無事、仕事に復帰したあいはらさんだが、日常生活に大きな変化があったという。 あいはらさん「僕ね、別のとこでも加湿器たいてるところだったら、アレルギー反応が出るんで、行けないんですよ。一生近づかないでくださいっていうことなんです」 自身の体に残ったアレルギー反応。あいはらさんは、自らの辛い体験を公表することが、加湿器の正しい利用につながればと話している。 あいはらさん「普通に水換えてるだけじゃ、なかなか清潔な使い方はできないと言われましたね。僕みたいな症状になる人も少なくはないらしいんですよ。だから、使い方はかなり気を使った方がいいかもしれませんよね」

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