仙台市を拠点とする女子プロレス団体「センダイガールズプロレスリング」(仙女)のメンバーが農業に取り組んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大でプロレスの興行は4月から全て中止に。少しでも損失の穴埋めを図ろうと、闘いの場をリングから田畑に移した。
仙女代表の里村明衣子(めいこ)さん(40)が3月、農機具販売の五十嵐商会(仙台市)に相談し、選手が働ける農家を紹介してもらった。4月から名取市、宮城県亘理町などで作業を手伝う。
仕事の内容は草刈り、田植えなど多岐にわたり、「普段使わない筋肉が鍛えられる」と里村さん。田植えの際に運ぶ苗板の重さは約5キロ。練習自粛の中、貴重なトレーニングの場とも捉えている。
6月までの3カ月間で10大会が中止になり、数千万円の興行収入が消えた。里村さんは東日本大震災を乗り越えた経験を踏まえ「コロナの影響を受けても絶対に事業を継続する」と誓う。
農作業は選手の精神的なケアにもなる。「人は働きがいがあれば表情が生き生きする。青空の下で作業できるありがたさを実感する」。わずかな外出の時間をかみしめるように、所属6選手と一緒に汗を流す。
仙女は震災の津波被害を受けた水田で育てたコメを「農姫米(のうひめまい)」と名付けて2018年から販売してきた。里村さんと共に、06年の旗揚げ時から在籍するDASH・チサコさん(31)は「今はプロレスラーのプライドを捨てて、できることをする。仕事があることに感謝している」と語った。