新型コロナウイルスが列島各地へ猛威を振るっている。上場企業は連日、新型コロナウイルスの影響や対策など発表しているが、企業業績においても影響が出はじめている。
帝国データバンクが3月4日に発表したTDB景気動向調査(全国)によると、新型コロナウイルスの影響が国内景気を大幅に下押しし、景気DIは38.7と7年ぶりに40を下回り、全業種45都道府県で前月比悪化となった。
帝国データバンクでは新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2月から3月3日までの適時開示情報を発表した上場企業のうち、新型コロナウイルスの影響が含まれ、業績を下方修正した企業について集計し、分析した。
業績の下方修正を発表した企業の内訳 総額2648億円の売上高下方修正
3月3日時点で、「新型コロナウイルス」の影響を含め、業績の下方修正(連結、非連結)を発表したことが確認できた上場企業は50社となった。
内訳をみると、東証1部(重複有)が29社、東証2部(重複有)12社、東証マザーズが5社、ジャスダック3社、東京PROの1社。
同50社が下方修正をおこなったことで減少した売上高の合計は2648億2200万円となった。特に修正額が大きかったのは、旅行代理店大手エイチ・アイ・エス(東証1部、連結)。当社は売上高ベースで1250億円の下方修正を発表。50社全体の47.2%を占める。旅行事業・ハウステンボスグループ・ホテル事業を中心に影響を及ぼし、2002年の上場以来はじめての赤字予想となった。
減少率でみると、2ケタの減少率となったのは7社(20%台2社、10%台5社)だった。なかでも、最も減少の幅が大きかったのは、栃木県の半導体製造装置などに使用される静電吸着・搬送装置システムの開発・製造を行っている筑波精工(東京PRO、非連結)の27.9%減。
業種別 製造業に大きなダメージ
業種別にみると、製造業が26社(構成比52%)でトップ。次いで卸売業(11社、同22%)と続く。生産活動全体及びグループ会社の工場稼働へも影響を及ぼし始めている企業がみられた。
2020年の決算に向けて、先行き不透明感のある新型コロナウイルスの感染の広がりが収束しなければ、今後も下方修正を発表する企業の増加が懸念される。上場企業の動向次第では、その企業を取り巻く周辺の中小企業への影響が派生していくこととなり、引き続き動向が注視される。