新型コロナ報道の見すぎに注意 医師がすすめる「外出自粛の過ごし方」

新型コロナウイルスへの対応に追われる医師たち。常に院内感染の恐怖にさらされながら、防御するための備品はどこも不足している。いま医療現場で何が起き、何が求められているのか。優先すべき対策はアベノマスクではない──。本誌は、医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピア社の協力で、1200人以上の医師に緊急アンケートを実施した。

 名古屋市内でクリニックを開業する呼吸器内科のA医師(40代)にとって、今いちばん気がかりなのは患者の健康だ。

「例えば、糖尿病患者さんのなかには、スポーツジムが閉鎖されたことで運動ができなくなり、血糖コントロールが悪くなった人も出ています。モチベーションが高かった患者さんほどダメージが大きいようです」

 漠然とした不安を訴える患者も多く、「何を言ってもなかなか……。ただ寄り添うしかないです」(A医師)という。

 そこでアンケートでは感染症による重症化リスクが高い高齢者や持病がある人に向けて、アドバイスを聞いた。

 内容を見ると、出歩かずに室内でできる運動を勧める医師と、「3密」にならないように気をつけながらの屋外運動(散歩など)を勧める医師に大きく分かれた。例えば、屋内派は、「テレビを見ながらでもいいので、少しでも手足を動かして」(愛知・40代・家庭医療)、「屋内でできる下半身の筋トレを」(東京・40代・神経内科)など、屋外派は「朝、夕方の人の少ない時間帯に散歩する」(愛知・60代・一般内科)などだ。

 人とは会わないことを勧める医師も多い。孫と会うのもダメ。ただ、代わりに電話などでコミュニケーションをとることは大事だ。

「マスクを買うために並ぶのは感染リスクになる」(愛知・40代・脳神経外科)と指摘する声もある。また、「新型コロナの報道を見すぎないこと」(静岡・50代・健診)、「コロナ関連のネガティブなニュースは見ない」(兵庫・50代・その他)といったアドバイスにも耳を傾けたい。(本誌・山内リカ、吉崎洋夫)

■外出を控えている高齢者や持病がある患者さんに、どんな過ごし方をすればいいかアドバイスを

・1日20分程度、窓を開けて換気をしつつ日光にあたる
・室内でできる簡単なこと(けん玉やジグソーパズル、新聞を読むなど)をして特別でない日常を過ごして
・電話などで周囲とコミュニケーションをとってください
・持病のある方は薬をきちんと飲んで、持病を悪化させないことが大切です。元気な方は適度に体を動かして
・不安をあおるような情報に惑わされず、慌てずに行動してください
・栄養バランスのよい食事、適度な運動は、免疫力を高める観点からも励行してほしい
・イスに座って手足を動かすようなリハビリをされると違うと思います
・家での楽しみを見つけましょう
・喫煙を控えてください
・暇を楽しめるような、気持ちの切り替えが必要です
・とにかく人のいるところに行かない
・体がなまらない程度に体操やストレッチを
・今は孫や若者との接触は控えて
・朝9時ごろまでに日光にあたると抗うつ効果があります。その時間までに散歩や洗濯物を干すなどの家事をしましょう
・不要不急の外出は控え、通販などを利用して
・1日1回は笑いましょう
・疲れをためないようにしましょう
・マスクを買うために並ぶのは、感染リスクになるので控えて
・公園などへの散歩は積極的にすべき。ただし立ち話はしない
・うがいと手洗いを徹底。手拭きタオルは毎日交換して
・体を冷やさないこと、水分を取ってのどを乾燥させないこと
・運動不足だと血管がつまりやすいので、家事などで体を動かしてほしい
・できるだけ普段通りの生活を。規則正しい生活、散歩や運動をしてストレスを避け、免疫力を保つことが大事だと思います
・足腰が弱ってしまうので、屋内でできる下半身の筋トレを
・単調な生活をしていると認知症が進むことがあるので、ビデオ電話などを家族としてみたらいかがでしょう

※週刊朝日  2020年5月1日号より抜粋

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