新型コロナ感染者、共通点は「食べながら会話」 家庭も危険

感染の再拡大が起きつつある新型コロナウイルス。3密を回避していたとしても、感染してしまったというケースも多々あるようだ。

 食品メーカー勤務の都内の40代男性Aさんは緊急事態宣言解除後、新入社員2人を営業先に同行させて仕事を教えていた。6月下旬、取引先を回り終えたAさんは「飲むには絶好の機会」と思った。

「一時はテレワークばかりで一切飲みに行かず、解除後もなかなか機会がなかった。外回りを終えた後、親睦も兼ねて“新宿・歌舞伎町でもないし、3人なら大丈夫だろう”と判断して、新人を連れて取引先に近い居酒屋に入りました」(Aさん)

 9日後、同席した新入社員の1人が新型コロナを発症。倦怠感と微熱が続いていたAさんが慌てて検査を受けると、結果は“クロ”だった。

「居酒屋の扉や窓は開放され、換気が行き届いていました。入店時に手の消毒もした。客席の間にアクリル板の仕切りはなかったですが、店内の客はまばらで客席の間隔も空いていた。それでも感染してしまい、後悔でいっぱいです」(Aさん)

 6月上旬に感染が発覚した大阪在住の30代女性Bさんが感染源として思い浮かべるのは「ママ友ランチ」だ。

「緊急事態宣言が解除されたので、久々にママ友4人でランチに出かけました。どこにしようか迷ったけど、久々の外食ですし、奮発して焼肉店へ。無煙ロースターで換気のよさを売りにする焼肉店なら大丈夫かなと思ったんですが、結局…。一緒にいたママ友1人も感染したので、恐らくそのときかと思っています。お互い、どっちが感染させたとは言えず、子供たちも濃厚接触者に。なんとも気まずい状況です」(Bさん)

 現在、都内病院に入院中の30代女性Cさんはマスクや手洗いを徹底し、夜の街はもちろんのこと、外食や外での買い物もできる限り避けていたのに感染した。

「心当たりといえば、会社の打ち合わせ中に同僚と一緒に会議室でお菓子を食べたことや、近所にランチに出たこと。そのときだけは無防備におしゃべりをしながら食べていました。その同僚も検査で陽性となりました」(Cさん)

 3人の感染者に共通するのは、「食べながらの会話」だ。新中野耳鼻咽喉科クリニック院長の陣内賢さんが語る。

「新型コロナは唾液中に多く存在し、食事中に唾液の分泌が増えると周囲の感染リスクが高まります。接待を伴う店はもちろんのこと、食べたり飲んだりしながら会話するレストランや喫茶店でも感染拡大の可能性があります」

 実際、北海道では、昼間からカラオケを楽しむ「昼カラ」を行っていた喫茶店などで客と従業員90人以上が感染した。東京・秋葉原のメイド喫茶でも従業員12人の感染が確認された。

 飲食店以外にもクラスターリスクの高い危険地帯がある。

「最近目立つのは、学校や保育園におけるクラスターの多発です。直近でも東京・文京区の認可保育園で保育士6人、園児25人が感染しました。子供の体内では一定以上はウイルスが増えないので、感染が確認しにくいし発症もしにくい。無症状の子供たちが大人にうつすというパターンが広がっているとみられています」(全国紙社会部記者)

 家庭内感染のリスクも看過できない。6月下旬、都内病院を退院した40代主婦Dさんが語る。

「夫は仕事上、会食の機会が多いので家では特に注意して、たまに食事を一緒にする際も取り皿を別にするなど気をつけていました。夜の遅い夫とはすれ違いの生活のため、感染リスクは少ないと思っていたけれど、寝室は一緒でした。暑い夜が続き、窓を閉めてクーラーをつけたまま寝ることが多かったので、密閉された寝室で新型コロナがうつったのかもしれません…」

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