宮城県中小企業家同友会は23日、就職活動を行う学生向けの合同企業説明会を仙台市青葉区の仙台国際センターで開いた。新型コロナウイルス感染症の拡大で大規模な企業説明会が軒並み中止になる中、学生と中小企業の接点をつくろうと、可能な限りの感染防止策を講じて実施した。
建設、製造、流通など県内外の22社がブースを設け、担当者が業務内容や会社の特徴を対面で説明。参加した学生26人は時折メモを取ったり質問をしたりしながら聞き入った。会場では全員が検温し、マスクを着用して間隔を取り、休憩時間に換気も行った。
屋外広告などを製作する日の丸ディスプレー仙台(宮城県利府町)は、街で目にする自社製作の看板を紹介しながら「黒子でも社会の中で役に立つことが喜び」と魅力を訴えた。河合治朗取締役工場長は「学生にアプローチできないと人は集まらない。説明会の開催はありがたい」と語った。
今年の就職活動を巡っては、情報サイト大手のマイナビ(東京)やリクルートキャリア(同)、宮城労働局などが説明会を中止。同友会でも中止の意見はあったが、接触機会が激減して困惑する学生や中小企業の要望が多いことを踏まえ、複数の大学とも相談して開催を決めた。
学生も好意的に受け止めた。東北福祉大3年の女子学生(21)は「幅広い業界を知りたいので貴重な場だった。人の雰囲気を感じられた」と満足した様子。自動車関連業種を志望する石巻専修大の男子学生(21)も「業務を詳しく教えてもらえた」と話した。
同友会の鍋島孝敏代表理事は「ネット配信では大企業と差別化できない。さまざまな業種を見てもらえたのではないか」と総括。中小企業の採用が本格化する6月以降を見据え「より学生が集まるよう、丁寧に準備したい」と力を込めた。