中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い、中国政府が同国からの海外団体旅行の禁止措置を講じた27日、日本国内の空港などでも影響への懸念が広がった。
羽田空港内のある雑貨店では、春節シーズンの客の約3割は中国からの団体旅行者という。男性従業員は「売れ筋のハンカチや小物などを用意していた。団体旅行禁止はとても残念だ」と話した。羽田空港の広報担当者は「今後はテナントへの影響も見込まれる。状況を注視していきたい」と話す。
中部国際空港(愛知県常滑市)でも例年、春節シーズンはロビーや団体向けバス乗り場が中国人観光客であふれるが、到着ロビーの飲食店で働く男性は「すでに中国人客が減っている。春節で多くの来客を期待していたが、これからさらに売り上げが落ちるのではないか」とマスク姿で心配そうに語った。
成田空港からの高速バスなどを運行する成田空港交通(千葉県成田市)では、春節に伴う大型連休が始まった24日以降、中国人の利用客が減っているという。同社の担当者は「目に見えて空港でも姿が減った。例年より2~3割程度減少しているのではないか」と話す。
「中国からのキャンセルが相次ぎ、残りの予約も早晩ゼロになるだろう」。大阪府内にある貸し切りバスの運行会社の担当者はため息をつく。同社は関西国際空港から団体客を運ぶバスを春節期間は1日5台ほど運行しているが、24日以降、中国の団体旅行客約200人分に当たる約30件のキャンセルが入ったといい影響は大きい。
担当者は「世界で感染が拡大する状況だけにキャンセルは仕方がない。ただ、今後他のアジア諸国の旅行客にもキャンセルの動きが広がらないか、心配な気持ちもある」と話した。