新型肺炎、SARSより経済への影響大きい可能性=黒田日銀総裁

[東京 4日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は4日の衆院予算委員会に出席し、新型コロナウイルスによる肺炎に関し「日本、世界経済に影響を与える可能性がある」と指摘した。2002-03年に流行した新型肺炎SARSよりも影響が大きくなる可能性にも言及した。

一方「今の時点で追加緩和するというのは時期尚早」と付け加えた。前原誠司委員(立国社)への答弁。

黒田総裁は「新型コロナウイルスの影響について評価は難しいが、すでにいくつか影響が生じている」と指摘。「中国国内の経済活動が抑制されているほか、日本や米国で製造業のサプライチェーンに影響が出ている。中国人観光客の減少を通じて、日本経済、世界経済全体に影響することが懸念される」と分析した。

「特にSARSの時と異なり、世界経済における中国経済のプレゼンスが非常に大きく、サプライチェーンも拡大しており、その結果影響が大きくなる可能性も意識する必要がある」と警戒した。

国際金融市場でも「投資家のリスクセンチメントが慎重になっている」とし、日銀として今後の経済・物価に与える影響や市場動向に「最大限の注意を払う」と強調。「必要な時に必要な対応が取れるよう万全の対応をする」との考えを示した

経済・物価の下振れリスクに対応して追加緩和に踏み切るかとの質問に対して、「現時点で、追加緩和の具体的内容については(発言を)差し控えたい」とけん制。「従来から必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく緩和を追加すると言っている。その場合の政策手段としてさまざまなものがあり、その組み合わせで、その他工夫の余地がある」とした。

日銀の国債買い入れに関し「昨年後半の金利低下時に減額したが、その後は減額していない」と説明した。低金利進行で国債買い入れを減らすことになるなら、日銀の政策運営指標である、物価目標達成まで保有国債残高を積み増すルールと、長短金利操作は、矛盾するのではないかとの質問に対して、そのようなことはないと反論した。

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