新型肺炎「治療薬」に課題 国が期待でも「量に限り」「強い副作用」

新型コロナウイルスによる肺炎治療のため、国が期待を寄せている薬に課題が浮上している。国内で未承認の薬のため使用できる量に限りがあったり、強い副作用があったりするためだ。

 治療薬として期待されているのは、富士フイルム富山化学(東京)が開発した新型インフルエンザ治療薬「アビガン」と、米ギリアド・サイエンシズ社が開発中のエボラ出血熱治療薬「レムデシビル」だ。アビガンは条件付きですでに承認。レムデシビルは未承認だが、国立国際医療研究センターを中心とした研究が行われている。ギリアド社も、アジア地域で1000人規模の治験を始める。

 厚生労働省関係者によると、二つの薬とも既に患者に投与されており、レムデシビルはアビガンよりもウイルスの増殖を抑制する効果が高いという。

 ただ、課題もある。アビガンには妊婦が使用すると胎児の手足などに奇形が生じる副作用が指摘されている。厚労省幹部は「子どもを産む可能性がある人には投与できないかもしれない」と話す。

 一方、レムデシビルは国内未承認薬で、研究するにも米国から輸入するしかなく、約200万人分の国内備蓄があるアビガンとは対照的だ。すでに米国から輸入した量も数十人分のみという。今後、効果が実証されれば一般の患者が利用できる態勢が整う可能性もある。【阿部亮介】

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