安倍晋三首相が2日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」に言及した。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正で法整備を急ぐ。新型インフル特措法は、政府が緊急事態を宣言すれば外出自粛など住民の行動を制限する要請や指示ができると定めており、新型肺炎対策でも同様の対応となる見通しだ。
新型インフル特措法は中国での鳥インフルエンザの感染拡大を踏まえ平成24年に成立、25年に施行された。新型インフルなどが全国的に急速に蔓延(まんえん)して国民生活や経済に甚大な影響が及ぶような場合、政府が期間(2年以内)や区域を定めて緊急事態を宣言する。
宣言時には、各都道府県知事が外出の自粛や休校、人の集まる施設を使わないなどの要請や指示ができる。現在、マスクなどの品薄が続くが、宣言時には業者に必要な医薬品や食品などの物資の売り渡し要請や収用、保管命令ができる。従わなかった場合などは30万円以下の罰金といった罰則規定もある。知事は臨時の医療施設用に土地や建物を強制使用することもできる。
人権にかかわるため制限は必要最小限としており、同法に基づく緊急事態が宣言されたことはない。一方、東日本大震災が発生した23年3月11日には、原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言が発令され、東京電力福島第1原発から3キロ圏の住民に避難指示などが出た。
新型インフル特措法では衆院本会議の採決で当時政権与党だった民主党のほか、野党の自民、公明両党も賛成。参院本会議では自民が欠席したが、民主、公明などの賛成多数で成立した。今回の法改正は超党派で迅速に対応できる素地はあり、政府は早期成立を目指している。(大島悠亮)