新型肺炎で在宅勤務や営業時間短縮など“自粛経済”広がる

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大企業で在宅勤務の動きが広がってきた。中には、全社員を対象に導入したり、発熱した社員の在宅勤務を禁じて「出勤扱い」にしたりして感染防止を徹底する企業も出てきた。また、一部の百貨店は営業時間の短縮に踏み切るなど、全国で“自粛経済”が広がりつつある。

 全国の小中学校、高校などが臨時休校になることで育児中の社員の出社が難しくなりかねず、在宅勤務は一段と増えそうだ。

 日本たばこ産業(JT)は27日、国内の約8700人の全従業員に対し、原則として在宅勤務とするよう通知したと明らかにした。JTの在宅勤務は26日から実施しており、一部の工場従業員などがやむを得ず出勤する場合は時差出勤などで対応する。生産への影響はないという。期間は当面の間としており、いつまで続けるかは状況を見ながら検討する。JTの従業員に感染者は確認されていない。

 花王はグループ会社を含め国内の全社員の半分に当たる約1万5千人を対象に28日から3月15日まで導入。生産拠点や店頭勤務の従業員を在宅勤務の対象外とし、手指用のアルコール消毒液などの増産態勢は変えない。

 日本製鉄もグループ全体の約4割に当たる約1万1千人でテレワーク制度などの積極活用を決めた。日鉄はテレワークやフレックスタイムを「最大限積極的に活用していく」とし、対象には製鉄所勤務者の一部も含むとしている。

 三菱商事は、本社や国内拠点に勤務する社員約3800人を原則として在宅勤務にする。期間は28日から3月15日まで。派遣社員約500人は原則として自宅待機とする。ホンダも「通勤電車などの混雑が特に深刻」な東京地区のオフィス従業員約2千人を28日から3月13日まで原則、在宅勤務とする。

 ソフトウエア開発のアステリアは3月13日まで、契約社員やアルバイトなどの非正規を含む全社員を対象に、37・5度以上の発熱時は自宅などでのテレワークを禁止し、出勤扱いにする。

 一方、高島屋は28日から3月17日まで、大阪店など営業時間が原則9時間半以上の店舗を対象に、営業時間を30分〜2時間短縮し、1日の出勤者を減らす。顧客と接触する従業員を減らすなどして感染リスクの削減を狙う。また、東京のグループ本社ビルなどで勤務する従業員約1千人について28日から原則在宅勤務に切り替える。

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