新型肺炎の感染、五大陸に拡大

【ロンドン=板東和正、ワシントン=住井亨介】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの脅威が世界各地に広がっている。新たに南米ブラジルや南欧ギリシャで感染者が確認され、中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染は世界の五大陸に拡大した。

 世界保健機関(WHO)は26日付の状況報告で、昨年12月に中国湖北省で新型コロナウイルスの感染が報告されて以来初めて、1日当たりの新たな感染者数で中国国外の合計が中国を上回ったと発表した。WHOによると、アジアと欧州を含むユーラシア、アフリカ、北米、南米、オーストラリアの5つの大陸で感染が判明した。

 欧州では、イタリアで感染者が急増、26日には400人に達した。イタリアに滞在していた人の感染も周辺国で相次いで確認されている。

 ギリシャ保健省は同日、イタリア北部から帰国したギリシャ人女性の感染を発表。ギリシャで感染が確認されたのは初めてだった。

 南米も例外ではなくなった。ブラジルのマンデッタ保健相は26日、最大都市サンパウロ在住のイタリア帰りの男性が新型コロナウイルスに感染したと明らかにした。北アフリカのアルジェリアでもイタリア人の感染者が確認されている。

 一方、アジアの感染拡大も歯止めがかからず、韓国政府は27日、国内の感染者が新たに334人確認され、計1595人になったと発表した。

 他方、これまで影響の小さかった米国でも警戒を強める動きが出ている。ロイター通信によると、ニューヨーク市近郊のナッソー郡の保健当局が感染の可能性が否定できないとして、中国への渡航歴のある住民83人を経過観察しているという。西部サンフランシスコ市のロンドン・ブリード市長は、感染拡大を懸念して緊急事態宣言を発令し、「世界的な情勢は急速に変化しており、われわれは準備を強化する必要がある」と述べた。

 ニューヨーク州、サンフランシスコ市ではこれまでに感染が確認された人はいない。地方当局が危機感を強める背景には、感染症対策を担う米疾病対策センター(CDC)が「(流行は)起きるかどうかの問題ではなく、いつ起きるかの問題だ」として対策を呼び掛けたことがあるとみられる。

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