新型肺炎 専門家「帰国者への心のケア 適切に行うべき」

中国 湖北省武漢から最初のチャーター機が羽田空港に到着し200人余りが帰国したことについて、専門家は今回帰国した人たちから感染が広がる可能性は低いとしたうえで、心のケアを適切に行う必要があると指摘しています。

新型コロナウイルスの感染が拡大する武漢から帰国を希望する日本人を乗せた最初のチャーター機は29日朝、羽田空港に到着し、このうちの5人に発熱やせきなどの症状があり、病院に搬送されました。

帰国した人たちへの対応について、海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「感染の有無にかかわらず全員を検査し、専用のバスを手配して検査が行われる場所に送り届けるなど、感染を広げないためのきめ細かな対策が取られている」と評価しました。

そのうえで「今回の対応をみると、帰国した人が仮に感染していたとしても国内で感染が広がる可能性は低いと考えられる。経過観察をきめ細かく行えば、感染の拡大は防ぐことができる」としています。

一方で、帰国した人たちのケアについて「感染が広がる武漢から戻った人たちは通常とは異なる状況で生活し、非常に強いストレスにさらされており、帰国しても感染を広げるのではないかという見方をされ、さらにストレスがたまる可能性もある。今後、必要に応じて心のケアなどを適切に行うべきだ」と指摘しています。

別の専門家も「帰国者の精神的不安の軽減を」

感染症の予防対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、帰国した人たちに対する健康観察を行うとともに、精神的な不安を和らげる必要があると指摘しています。

賀来特任教授は「帰国した人たちは、いつ自分も感染し、発症するかわからないという精神的な不安を抱えてきた。さらに帰国後に偏見にさらされる不安も感じていると思う。感染症対策は人権を十分に尊重しながら対応するのが基本で、社会に冷静さを呼びかけるとともに、帰国した人たちの精神的な負担を軽くする対応が必要だ」と指摘しました。

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