新年度スタート、仙台で3条例施行 「猫と共生」「CO2削減」「土地活用」

新年度がスタートし、仙台市で三つの条例が施行された。飼い主のいない猫を住民有志が管理する「地域猫活動」を推進。市内の一部事業者には、温室効果ガスの計画的な削減が義務付けられる。市中心部では一定規模の建物の駐車場設置義務が緩和され、駐車台数を減らし土地を有効活用した再開発が可能になる。

●人と猫との共生

 「人と猫との共生に関する条例」は、飼い主のいない猫の適正な管理などを目指す。昨年6月の市議会定例会で議員有志が提案し、全会一致で可決された。
 飼い主のいない猫への無責任な餌やりが後を絶たず、ふん被害などの苦情が急増する。条例は餌を与える市民に不妊去勢手術などの努力義務を課す一方、町内会や住民有志が不妊去勢手術をした上で、餌やりや給水、排せつ物の処理などを担う地域猫活動を広げる。
 飼い猫に関しては屋内飼育、命を終えるまでの飼育(終生飼育)、所有者の明示、名札の装着、ゲージ飼育の習慣化を飼い主の努力義務としたほか、大規模災害時の避難先確保や必要な物資の備蓄なども求める。

●温室効果ガス削減

 「地球温暖化対策推進条例」は、温室効果ガス削減に向けた取り組みを誘導する。事業者が削減計画書を提出し、市が助言、評価する「温室効果ガス削減アクションプログラム」の仕組みが最大のポイントだ。
 (1)原油換算で年間1500キロリットル以上のエネルギーを使用(2)エネルギー使用以外で温室効果ガスを年間3000トン以上を排出(3)市内で自動車100台以上を所有する運送事業者-のいずれかに該当する約100の「特定事業者」に対し、プログラムへの参加を義務付ける。
 事業者は計画期間の3年間で達成を目指す温室効果ガスの削減量、実現に向けた取り組みを計画書に明記する。初年度は提出期限を10月末に設定。年1回の報告書提出も求める。
 市は計画期間終了後に200点満点で採点し、合計点数が特に高い事業者を表彰する。計画書や報告書を提出しない事業者には提出するように勧告。従わない場合、市は事業者名の公表に踏み切ることができる。

●駐車台数の緩和

 昨年12月の市議会定例会で「建築物における駐車施設の付置および管理に関する条例」の改正案が可決された。市中心部で駐車場を設置する場合の台数確保の基準を大幅に緩和した。
 対象区域は地図の通り。(1)延べ床面積2000平方メートルを超える店舗や事務所、ホテル(2)同3000平方メートルを超えるマンションや学校-などに適用し、台数基準を3割程度緩和する。店舗や事務所は床面積250平方メートルに1台が、同350平方メートルに1台に変わる。
 公共交通の利用促進に取り組むと、緩和後の新基準の台数をさらに少なくできる特例も創設。公共交通の時刻表掲示で5%、バス待合環境の整備で20%、駅に接続する地下通路の整備で40%を追加で緩和する。
 延べ床面積1万平方メートルのホテルの場合、条例改正前は32台分の駐車場が必要だったが、改正後の新基準と特例制度を組み合わせれば9台分でよくなり、浮いた空間を別の用途に使える。

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