新生『オレオ』、中国製になっていったい何が変わったのか

8月末をもってヤマザキナビスコがナビスコブランドから撤退。モンデリーズジャパンが引き継いだ『オレオ』。同じくナビスコブランドの「リッツ」、「プレミアム」は新生ヤマザキビスケットから「ルヴァン」として後継商品が現れたが、「オレオ」は例外。選択の余地がなく中国製となった『オレオ』、その味わいを比較する。

■中国製になったからといって品質が必ずしも下がるわけではないというポジティブな気持ちで実食!

何という冷遇。ヤマザキナビスコがナビスコ・ブランドを必要としなくなり、社名をヤマザキビスケットに変更してまで「ルヴァン」を世に出したのは自身の賜物だろうから、頷ける。オンザ・リッツの「リッツ」も朝食需要にもなるソーダクラッカーの「プレミアム」も、同じ「ルヴァン」のいちシリーズとなってしまったが、しっかり後継製品が発表された。

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なのに『オレオ』はヤマザキビスケットからの後継製品はなし。今までだと、「リッツ」の後は新生「リッツ」かな、「ルヴァン」かななどという楽しい選択の余地があったのだが、『オレオ』に関しては新生『オレオ』に移行するしかない。もはや食べるか、食べないかしかユーザーは選べないのだ。


なのでこの試食は非常に緊張する。新生『オレオ』がダメなら、他に選ぶ余地がなく、これまでのオレオライフは近々永遠に失われることになるからだ。

 

まず検証するために『オレオ』の基本をおさらいしよう。『オレオ』はタイタニック号が沈没した1912年に誕生し、世界100カ国以上で愛される世界一のビスケットブランド。黒いココアクッキーにバニラクリームを挟み込んでいるクリームサンドクッキー。黒白黒の組み合わせが世界中で様々なジョークのもとにされるほど、目に馴染んだユニバーサルデザイン。

 

食べ方は普通にかじってもいいのだが、ポピュラーなのはクッキー部分を外して、外した方でクリームをすくいとり(またはクリームを舐め)、牛乳に浸して食べるという独特の食べ方が人気。パッケージでヤマザキナビスコはTwist-ツイスト(ひねる)、Scoop-スクープ(すくう)、Dunk-ダンク(牛乳に浸す)とすくいとる形式を推奨していたが、モンデリーズ・ジャパンはツイスト、Lick-リック(舐める)、ダンクと舐める形式を推奨、微妙な自己主張の違いが楽しい。

 

それではいい加減前置きはやめて、実際に食べてみることにしよう。今回は各サイズやバリエーションもあるが、一番基本的な9枚×2パックの『オレオバニラクリーム』で検証した。

■販売終了したヤマザキ・ナビスコの『オレオ』(日本製)


(9枚×2パック・実勢価格 税込238円)
原材料:砂糖、小麦粉、植物油脂、乳糖、ココアパウダー、ぶどう糖果糖液糖、コーンフラワー、カカオマス、ホエイパウダー(乳製品)、食塩、膨脹剤、乳化剤(大豆由来)、香料


以前は箱入りだったと思うが、入手したヤマザキ・ナビスコ『オレオ』は袋入りだった。9枚×2パックの袋を開けると鮮やかな黒色に名前とともにややこしいレリーフ模様。そのまま食べるとザクザクとした食感で、中のバニラクリームが甘さ控えめに調和してくる安定の味わい。

 

昔はもっと硬かった気がするが、今現在のヤマザキ・ナビスコ『オレオ』最終エディションはしっかりと乾燥されたクッキーと抑制の効いたバニラクリームの甘さが、何とも上品。国内製ということでの安心感も大きい。


推奨されるツイスト、スクープ、ダンクを試してみると、実に外れやすい。往年のものはもっと外れにくかったが、軽く力を入れてひねるだけでパッと外れる。中のクリームも外したクッキーですくうと外れるくらい。こんなに進化していたんだなと、驚き。


味はしっかり甘みが残る。冒険性は無いけれど安心の味わい。誰もが美味しいと感じるコンサバティブお菓子の最高峰と言っても過言では無い。さあ、これをもとにいよいよ新『オレオ』を食べてみる。

 

■モンデリーズ・ジャパンの新『オレオ』(中国製)


(9枚×2パック・実勢価格 税込202円)
原材料:小麦粉、砂糖、植物油脂、乳糖、ココアパウダー、コーンスターチ、カカオマス、ホエイパウダー、食塩、膨張剤、乳化剤、香料、酸化防止剤(V.E、V.C)、(原材料の一部に小麦・乳成分・大豆を含む)


食べる前に原材料の小麦粉と砂糖の位置が逆転していることに気がついた。量が多い順に表記するルールなので、これは結構驚き。あと旧「オレオ」には清涼飲料水でおなじみのぶどう糖果糖液糖まで入っていたのにも驚かされた。コーンフラワーとコーンスターチはほぼ同義なので気にしない。新「オレオ」は輸入の道のりを考えてか、ビタミンE、Cが酸化防止剤として追加されている。こちらは箱入り。


見た目での判別はほぼ不可能。ただ香りは明らかに新『オレオ』が強い。ひねって外すのも旧「オレオ」は簡単だったが、新『オレオ』はクリームの粘度が高く、外れにくい。何度かチャレンジしたが、きれいに外すことはできず、クリームが泣き別れてしまう。


味の方は新『オレオ』の方がクリームのバター風味が濃いのと、ココアクッキー自体が甘みが強い。これはこれで主張が強いけれど、米国では食べたら必ず太るクッキー代表格として罪深い印象を持っている『オレオ』ならではの味とも言える。この邪悪(?)な味わいを楽しめるかどうかで、美味しいかどうかが分かれるはず。記者はちょっとヤバめの輸入菓子の味わいも好きなので、結構いけるが、苦手な人は苦手だろう。

 

それに比べると旧「オレオ」は爽やか。クッキーもパッと外れるし、クリームもすっきりタイプで、ぶどう糖果糖液糖ならではの表面的なさっぱり感が日本のお菓子という印象。どちらが体に良いかというより、PTAも喜べるような優等生的味わいに仕上げていたのが旧「オレオ」なようだ。

 

■ まとめ:脱コンサバ味! 体重増加間違いなしのヤバめの味わいに仕上がった新生『オレオ』

もちろん国内製から中国製に切り替わったのは、心理的には大きな心配のタネだろう。世界に名を馳せているモンデリーズの管理体制が問われるところだ。だが元々「オレオ」はモンデリーズ社の製品なので、本来のオレオ味は新『オレオ』で正解なのだと思う。

一応モンデリーズ・ジャパンは日本向けに味を調整したと声明を出しているが、充分海外気分を味わえる仕上がりの新『オレオ』。ツイスト、リック、ダンク(Twist, Lick, Dunk)で、体重のことなど頭から振り払って罪深く楽しみたい!

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