新築住宅が売れなくなる、「ごみ難民」が急増…これから人口激減ニッポンを襲う「ヤバい大変化」

出生数が急減している人口減少日本で各業種・職種に何が起こるのか?   ベストセラー『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 【写真】衝撃…日本の総人口が2000人になる未来予測!  そんな『未来の年表 業界大変化』著者の河合雅司さんが、人気ラジオ番組「村上信五くんと経済クン」に出演。そこで発せられた「未来の日本への警告」とは? 

30代が減って新築住宅が売れなくなる

 「2024年、3人に1人が65歳以上、2039年、火葬場が不足、2040年、自治体の半数が消滅」――といった衝撃的な帯が巻かれ、50万部以上の大ベストセラーとなった『未来の年表』から5年、最新作『未来の年表 業界大変化』では経済・ビジネスに特化した内容を数多く取り上げている。  番組では、住宅、医療、地方公務員、安全を守る仕事、4つの業種で起きる大変化について河合さんが語った。  まず、住宅業界に起きる大変化「30代が減って新築住宅が売れなくなる」とはどういうことか。  河合さん「最近、地価が上昇していますが、住宅需要は伸びています。理由の一つは、相続税対策としてお金持ちの高齢者たちが東京や大阪のマンションを買っていること。もう一つは、安定的な日本の不動産を投機目的で購入する人がいることです。  しかし、30年後の30歳は現在より3割少なくなり、マーケットは縮小していきます。加えて、ライフステージが後ろ倒れとなって30~40代で結婚する人が増えると、毎月の住宅ローン返済額も増え、現在30年ローンを組んでいるのを20~25年ローンで返済するように。あるいは、安い物件を購入するようになるので、徐々に新築住宅を買わなくなるでしょう」  村上さんは「住宅業界の話題では、『空き家』についてよく聞きますが、どうなのでしょうか?」と問いかけた。  河合さん「空き家は増えていて、政府も対策しなければということで、国交省などが検討しています。最寄り駅から1キロ以内くらいの空き家が50万戸くらい、耐震性の面など補強しなければいけないものも含めると152万戸あります。そこを中心にリノベーションを進めていく動きがありますが、そうするとますます新築より便利な場所になって、新築が売れなっていくでしょう」

2030年頃になると「患者不足」が起きる

 2つ目に取り上げたのは、医療業界に起こる大変化「2030年頃になると『患者不足』が起きる」というもの。聞き慣れない「患者不足」とは?   河合さん「これまで高齢者が増えるということで、『医師不足』が叫ばれてきました。だから医学部の定員枠を増やしてきましたが、都道府県によってはすでに高齢者数が減っています。すると、医師が増えても患者がいない『患者不足』の状況に陥るわけです。  二次医療圏(救急医療を含む一般的な入院治療が完結するように設定した区域)別にみると、外来患者数は2020年までに214医療圏で、入院患者数は2035年までに260医療圏でピークを迎えます。ただ、診療科によって偏在化が起きます。内科や皮膚科では医師が多く、外科は足りないといったように。  2040年までには高齢者も減少していきますが、基本的には大都市圏では医師不足が続き地方では患者不足が起きます。すでに医者が転職したり病院ごと東京圏に移転したりする動きも出てきているほどです」

「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加

 3つ目は、地方公務員に起こる大変化として、「『ごみ難民』が多発、20キロ通学の小学生が増加」を解説。  河合さん「地方公務員は行政改革で減らしていましたが、少子化でその数はますます減少します。2045年には充足率が8割を切る、つまり2割以上人が足りなくなり、町村レベルでは充足率が65%という場所も出てきます。となると、一人で幅広い地域を担当し、負荷が増え、ブラック化していく未来が見えてきます。『ポツンと5軒家』のような状況では、少ない人数ではゴミ収集すら十分にできなくなるでしょう。  また、小学校の統廃合がますます進んでいきます。子どもや学校の数は減り、教員余るような事態も起きるでしょう。いまや子どもの8.4人に1人が東京都生まれですから、地方はもっと子どもが少ないわけです。その結果、地方ほど人口集中地にしか学校が残らず、通学距離20キロ以上の人がいる学校は、小学校で8%、中学校で14%に及んでいます」

60代の自衛官が80代~90代の命を守る

 最後に、安全を守る仕事に起こる大変化として、「60代の自衛官が80代~90代の命を守る」ということが紹介された。  河合さん「軍備の拡充をしても、メンテナンスをしたり装備を使用したりする人が高齢化しています。大災害があったときに人命救助する自衛官の数が足りず、この10年ほどを見ても定員不足が常態化しているんです。このまま充足率が減っていくと、制度改正で60代だけの部隊ができる日も来てしまうのではないかと思います。人生100年時代、60代の自衛官が80代~90代の命を守るような未来がやってくるわけです。  警察でも同じことが起きています。兵庫県や鹿児島では採用上限年齢が36歳と、若者の採用が困難になっています。日本では約7割の人が災害リスクのある場所に住んでいますから、50~60代の消防士が高齢者を救助する光景が当たり前になるでしょう」  最後に、村上さんは「私たちが意識すべきこと、考えるべきことは?」と投げかけた。  河合「個人でどうこうするのは難しい問題。政府や各業界が発想を変えていかないといけません。  ポイントは2つ。ひとつは、労働者・サービスに就く人が減るので、減少を前提にどうするかを考えること。もうひとつは、市場が小さくなるので、行政サービス含めいろんなサービスが届くように、ある程度の規模の商圏を維持することです。  好きなところに住む自由はありますが、社会全体のことや生活を考えると、集約していかないと人口減少問題を乗り越えることができません。日本の各地に便利な場所を作っていくような動きを自主的にやっていくことがこれから不可欠になるでしょう」

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