新米、高値続く公算=「5キロ3000円」

コメの品薄問題で、欠品が生じていた一部のスーパーの店頭に2024年産米(新米)が並び始めた。農林水産省は新米の本格流通開始で「品薄となっている状況は順次回復していく」(坂本哲志農水相)との見通しを示すが、価格は上昇した状態が当面続きそうだ。

 「昨年は1500〜2000円で推移していたが、今は3000円を超えている」「今のままだと消費減退リスクがある」。スーパー店頭に並ぶ精米5キロ当たりの販売価格について、4日に農水省が開いたコメの取引状況に関する意見交換会では、米穀卸売業者からこんな声が上がった。

 9月第1週(8月31日〜9月6日)の卸売り大手9社の精米販売数量は前年同期比3%増となり、供給量は週を追うごとに増えていく見通し。それでも高値が続きそうな背景には、生産費の上昇を受け、全国農業協同組合連合会(JA全農)が新米を集荷する際に前払いする「JA概算金」を昨年産と比べ2〜4割程度上げていることがある。

 新米への切り替えで流通在庫が減る8月の端境期に南海トラフ地震の臨時情報発表などを受けて消費者の買いだめが発生し、品薄感が強まった影響も残っている。

 概算金の水準は店頭価格に影響する。これから本格流通する富山県産コシヒカリでは昨年産比2割超、秋田県産あきたこまちは4割近く上昇。生産量トップの新潟県産の銘柄でもアップしている。

 一部の産地では、JAと民間業者の間で新米の集荷競争が激しくなっている。業界関係者の間では、概算金の引き上げを予想する見方も出ており、小売価格に跳ね返る可能性もある。 

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