新自己資本規制、メガにも大逆風 貸し渋り・再編淘汰の懸念

主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会(スイス)が12日決めた銀行の新たな自己資本比率規制は、邦銀にとって厳しい内容となった。自己資本が薄いみずほフィナンシャルグループのほか、地域金融機関も、追加的な増資を迫られる可能性がある。
 新たな規制では、国際業務を行う銀行について、普通株などを中心とする質の高い「中核的自己資本」の比率を7%とし、従来の自己資本比率の最低基準も、これまでの8%から10・5%に引き上げる。2013年から段階的に適用し、19年から全面適用する。
 自己資本比率は、貸し倒れなどの恐れがある資産に対し、資本がどの程度あるかを示す指標。日本や欧州は普通株や、利益を積み上げる内部留保で構成する「中核的自己資本」を6%に抑えたい意向だったが、規制強化を主張する米英に押し切られた。
 金融庁では「邦銀が経営努力の範囲で、貸し渋りなど経済への悪影響を与えることなく達成できる水準」とみている。
 シティグループ証券の試算によると、規制の導入が始まる13年3月期の中核的自己資本比率は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が8・62% 三井住友FGが7・9%、みずほFGが6・15%。クリアできていないみずほは、利益の積み増しや増資を迫られる可能性がある。
 また、国際業務を行わない地域金融機関について、日本は独自に従来の自己資本比率の最低基準を4%としてきた。従来の比率も引き上げられたことで、独自の国内基準も見直しが必要となる可能性があり、金融庁では「今後、検討する」としている。
 仮に独自基準が6%に引き上げられれば、「クリアできない金融機関もあり、増資が必要になる」(金融アナリスト)とみられている。増資ができないと、分母の資産を減らす必要があり、貸し渋りや貸しはがしにつながる恐れがある。基準をクリアしている銀行でも、「当然、余力は小さくなり、新規融資には慎重にならざるを得ない」(業界関係者)との声は多い。
 また、日本振興銀行が経営破綻し戦後初のペイオフが発動された直後だけに、「自己資本比率の低い銀行から全額保護の対象とならない1000万円超の預金を引き出す動きが広がり、貸し渋りや淘汰が進む可能性がある」(同)との見方も出ている。

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