新車販売4年ぶりに500万台割れ!各社総崩れの中、プラスに転じたのは…

平成27年度の国内新車販売台数は、東日本大震災のあった23年度以来4年ぶりの500万台割れとなり、低迷が鮮明になった。特に失速が大きかったのが軽 自動車メーカー。新車販売トップ10位のうち6車種を軽自動車が占めたが、昨年4月の軽自動車税増税が響き台数は軒並み減少した。その半面、元気だったの が軽の割合が低いトヨタとマツダ。各社が前年度に比べふた桁前後のマイナスに陥る中、この2社だけがプラスを記録し、気を吐いた。

■トヨタはホンダの2倍以上

トヨタは小型ハイブリッド車(HV)「アクア」が4年連続で首位を守った。ただ、アクアの台数は前年度比15.8%減の19万2399台にとどまり、代 わりに伸びたのが、昨年12月に新型車を発売した主力HV「プリウス」(3位)や、昨年3月に一部改良した「カローラ」(7位)。トップ10位に最多の3 車種が食い込んだ。

高級車ブランド「レクサス」を含む全体の販売台数は1.5%増の約148万8000台を確保し、2位のホンダの約70万4000台に2倍以上の差を付けた。他メーカーが落ち込む中、軽の比率が低いことで王者の強さが際立った。

トヨタと並び国内勢で販売を伸ばしたのがマツダだ。小型車「デミオ」や小型SUV「CX-3」の新型車がそろって販売を拡大。24年に投入した主力 SUV「CX-5」も人気が衰えず3.5%減と小幅な落ち込みにとどめ、全体では3.4%増と国内勢トップの伸びを記録している。

なかでもガソリンより安い軽油を使用するクリーンディーゼルモデルが販売を牽引しており、登録車販売の5割以上を占めている。昨年5月に発売した2人乗 りスポーツ車「ロードスター」の4代目は、「2015-16日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞して好調さを印象づけた。

■想定以上の反動減

一方、ホンダは軽「N-BOX」が2位を獲得したほか、主力小型車「フィット」(6位)が10位以内に入ったものの、いずれも台数は減少。昨年4月に投入したミニバン「ステップワゴン」の新型車が販売を伸ばしたが、全体では約1割減少している。

さらに深刻なのが3、4位につける軽市場の「2強」のスズキとダイハツ工業だ。

軽市場の拡大で国内販売は、日産自動車を上回る両社。25年度は消費税率引き上げ前の駆け込み需要で両社の軽は7~10%の伸びを示し、26年度も軽自動車税増税前の需要で高水準を維持した。

だが、27年度はスズキが26年12月に発売した主力の軽「アルト」の新型車が8位にとどまり、全体は16.7%減と苦戦した。ダイハツは軽「タント」 が4位に入ったが、全体は14.9%減と落ち込んだ。「駆け込み需要が想定以上だった分、反動も大きかった」(業界関係者)

日産も軽「デイズ」が5位に入り、スポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」がHV投入もあって販売を伸ばしたが、新型車が少なく販売は低迷した。

■今年度も駆け込みがなければ27年度並み

日本自動車工業会(自工会)によると、27年度の国内販売は6.8%減の約493万8000台。28年度は29年4月の消費税率引き上げを前に再び駆け 込み需要を見込み、6.5%増の約525万8000台と予測する。だが、消費税率の引き上げが先送りされて「駆け込み需要がなくなれば(500万台割れ の)27年度並みだ。厳しい状況は続く」(自工会の池史彦会長)。

軽の失速で停滞する国内市場に対し、日産がミニバン「セレナ」や高級スポーツ車「GT-R」の新型車を今夏に投入する見込み。マツダも人気のSUVで新 型車「CX-4」の投入が噂され、ホンダは2年以内に「シビック」を再投入する方針だ。魅力的な新車をそろえ、クルマ離れを止めることができるかどうか。 メーカーの商品力がより厳しく問われることになりそうだ。(会田聡)

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