新食材「マコモ」の栽培技術確立 和歌山県農業試験場

和歌山県農業試験場(紀の川市)は、新食材として注目されるイネ科植物「マコモ」の栽培技術を確立したと発表した。国内での栽培は歴史が浅く、マニュアル 化されたものは少ない。比較的手間を掛けずに生産できるため、遊休農地の拡大抑制にも期待できるとして、普及を目指していく。

試験場は3月、冊子「マコモの特性と栽培」を千部作製した。各振興局や農協で手に入るほか、試験場のホームページでも閲覧できる。県の機関がマコモの具体的な栽培技術をマニュアル化した例は全国でも珍しいという。

県内では2008年ごろに高野町の数戸で栽培が始まったが、栽培技術が確立されておらず、収量が不安定だった。そこで、農家から要望を受けた試験場が11年度から栽培技術の開発に取り組んできた。

株当たりの収量や可食部の品質、生育などで8種類の中から優良種を選定。効果的な施肥や病害虫対策、雑草対策、水の管理、植え付けと収穫の時期や方法などについて研究した。

水田で栽培するが、大型機械を導入しにくい中山間地などでは、水稲より比較的少ない労力で栽培できるという。そのため、体力が続かなくなり、水稲栽培が難 しくなった高齢農家もマコモに転換して農業を続けることも期待できる。そうすれば、遊休農地が増えるのを抑制できるという。目標収量は10アール当たり1 万3200本(800キロ)で、直売所では1本70~80円で販売されることが多い。

マコモは中国から導入された。北海道以外で栽培さ れ、沖縄県や三重県、長野県、岐阜県などでは比較的盛んに取り組んでいるが、全国的にも生産量は少なく、国産品の市場での取り扱いはないという。現在の県 内生産者は、試験場が把握しているだけで、田辺市や海南市、紀の川市など計10戸程度。

食べられるのは、肥大した株元の皮をむいた白い 部分で、食材は「マコモタケ」と呼ぶ。食物繊維やカリウムを多く含み、タケノコやアスパラガスに似た食感で癖がないのが特徴。炒め物や天ぷら、煮込みなど 多種に利用でき、中華料理にも相性がいいという。試験場は13年に、料理レシピの冊子も作っている。

マコモは東南アジアに広く分布しているが、日本で沼や川に自生しているものは食用にはならない。

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