宮城県女川町の施設一体型小中一貫教育学校となる女川小中学校(児童196人、生徒103人)が23日開校し、体育館で落成式があった。町内1カ所ずつの小中学校の施設が一体化され、児童生徒は新たな仲間と共に新校舎で2学期を迎えた。
新型コロナウイルスの影響で規模を縮小した落成式には小学6年と中学3年の児童生徒や関係者ら約160人が参加。他学年は各教室で中継動画を視聴した。
中学3年の鈴木純怜(すみれ)さん(15)は「新しい校舎での生活は多くの支援と協力のおかげということを忘れない。小学生の手本になるよう心掛けたい」とあいさつ。児童生徒の代表や須田善明町長らがテープカットし、校舎の完成を祝った。
東日本大震災で甚大な被害を受けた町への教育支援として10億円を提供した中東カタールのハッサン・アルエマーディ駐日特命全権大使らも式に出席し、サッカーボールや記念品を贈った。
町役場の南側に建てられた新校舎は、鉄筋コンクリート一部鉄骨4階で敷地面積は約2万7600平方メートル。震災の津波浸水域より高い海抜26メートルに新設し、校庭に人工芝を敷いた。建設事業費は約53億5400万円で、国の復興交付金27億4700万円やカタールからの支援金8億6800万円などを充てた。
女川小と女川中は2013年、3小学校と2中学校をそれぞれ統合して開校した。
今後の教育は9年間の系統的な指針「女川プラン」を軸とする。小学校の音楽や英語の一部授業を中学校教員が担う「乗り入れ授業」や、防災学習や職場体験といった学びを日々の暮らしに生かす「生活実学」も展開する。