旅行業者1000人を東北へ派遣 商品企画し復興支援

日本旅行業協会(JATA、東京)は12月3~4日、会員旅行会社の社員ら約1000人を東北6県に派遣する東日本大震災の復興支援プロジェクト「行こうよ!東北」を実施する。各県が誘客に力を入れる計28コースを巡り、新たな旅行商品作りにつなげる大規模な研修で、被災地のボランティア活動や観光関係者との交流会にも参加する。
 加盟1126社のうち、一般ツアー商品を販売する旅行会社など74社の役員、商品の企画担当者らを派遣する。まだ「全国区」になっていない観光地を盛り込み各県4~6コースを設定し、それぞれ20~40人が訪れる。
 岩手県沿岸の被災地と世界遺産「平泉」を巡るコースは大船渡市の海岸で、語り部ガイドから震災当時の様子を聞く。宮城県沿岸を訪ねるコースでは、気仙沼市でボランティア活動を体験する。
 秋田県北部を回る一行は、小坂町の日本最古の芝居小屋「康楽館」を見学。福島県会津地域を訪ねるコースでは、観光関係者と風評被害の影響について意見交換する。
 参加各社は視察後、12月末までに東北旅行の企画案をまとめる。協会は来年1月にコンテストを実施し、優秀な企画案の商品化を検討する。ロゴマークも作製し、各社の商品に使う。
 日本旅行業協会の復興支援を目的とした大規模な研修活動は国内では初めて。海外を含めると、米同時多発テロ後の2002年5月、約1000人をニューヨークに派遣して以来となる。
 仙台市で20日に記者会見した中村達朗理事長は「研修を通じ、東北の観光復興を業界全体で支援する意識を共有したい。東北がどんな思いで復興に取り組んでいるか、各担当者が肌で感じる意義は大きい」と強調した。

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