日本の宝であるハイテク技術が、隣国の脅威に晒されている。
それを象徴する事件が明るみに出た。
3月13日、東芝が韓国の半導体大手・SKハイニックスを相手取り、損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に起こしたのだ。
パソコンなどのデータを記憶するフラッシュメモリーに関する技術の機密情報を、不正に取得・使用されたという。
東芝の損失は1000億円超の見通しだ。
この件に関し、警視庁は東芝の関係会社に勤めていた日本人技術者・杉田吉隆容疑者(52)を不正競争防止法違反の容疑で逮捕した。
杉田容疑者はかつて、東芝の四日市工場でスマートフォンなどに使うフラッシュメモリーの故障原因を解析する仕事を請け負っていた。
「東芝の機密情報が入ったサーバーにアクセスできる立場を悪用して情報を抜き取り、韓国企業のSKハイニックスへ転職しました。東芝の最先端技術情報を持ち込んだ見返りに受け取った報酬は、年俸3000万円とも言われています。しかし、このような事件は氷山の一角。表面化していないケースを含めると、被害額は想像も尽きません」(全国紙経済部記者)
2012年4月には、鉄鋼大手の新日鉄住金が、韓国の鉄鋼最大手・ポスコなどに製造技術を盗まれたとして提訴したこともあった。
こうした技術ドロボーは、韓国企業ばかりではない。
2012年3月には、工作機械大手のヤマザキマザックが中国人社員によって設計図データを盗み出される事件なども起きている。
国際問題評論家の小関哲也氏は、「中国と韓国は、時間をかけた基礎開発が苦手です手っ取り早く出来合いのものを手に入れたほうがいいという考えなんです。したがって、中韓両国の家電メーカーが世界を席巻した背景には、日本からの技術流出があったと考えるべきでしょう」
基礎研究を重んじる「日の丸技術」で、世界をアッと言わせた日本人としては聞き捨てならない話だが、事態は深刻だ。
「冷戦後、各国の諜報活動は、先端技術を盗み出す産業スパイ活動に大きくシフトしています。特に中韓両国にはその傾向が強く、日本国内で活動をしている中韓の工作員のうち、8~9割が産業スパイだと考えられています。一説によると、その数、30万人超と言われています」(スパイ活動に詳しい軍事ライター・黒鉦英夫氏)
そんな中韓の産業スパイの具体的な行動とは、どのようなものなのだろうか。
外交評論家の井野誠一氏によると、まず韓国の場合は、「国家情報院に所属し、大使館員や領事館員はもとより、日韓友好団体の職員やジャーナリスト、大学教授、研究員らになりすまし、日本に潜入しています」とのこと。
そんな産業スパイや韓国企業が接近するのは、もちろん日本の技術者だ。
「目をつけた企業のスタッフの名簿と人定事項の情報を入手するのが主な目的。その情報をもとに、ターゲットを絞り込んでいくんです」(前同)
杉田容疑者は、管理職から一般技術者に降格され、待遇に不満を抱いていた。
韓国企業にとって、そういう技術者こそ落としやすい。
「かつてよく行われた手口は、週末や祝祭日を利用し、ハンティングした日本の技術者を密かに訪韓させ、技術指導を行わせるというもの」(同)
しかし、彼らを誘うには、それなりの餌が必要だ。
“日本企業の報酬の5割増し”や”運転手付きの車””高級マンション”などだ。
「美人の韓国人女性を日本人技術者に紹介して現地妻(愛人)とさせるケース、また、独身男性の場合には韓国人女性と結婚させて身動きできなくさせるケースもあります」(同)
特に2008年以降は、こうして韓国の罠にはまった日本人技術者が「日の丸技術」を、こぞって売るようになったようだ。
前出の小関氏が、こう続ける。
「ちょうどその頃は、リーマン・ショックが起こり、世界経済が瓦解した時期に当たります。当時、日本では非正規・正規社員問わず首切りを断行していました。技術者も例外ではなく、首切りによってあぶれた日本の技術者を高待遇で受け入れたのが、サムスンなど韓国の企業だったんです」
当然、日本の技術者が韓国企業に転職するには、”手土産”が要求された。
技術者は仕方なく、最先端情報を持ち出したのだ。
「ところが、韓国が期待しているのは基礎技術はもちろん、日本と同等レベルの製品を量産化する技術。したがって、それが実現できたら、日本の技術者は不要になり、ポイ捨てですよ」(韓国企業に勤める日本人)
そのうえ、日本人技術者が別の企業へ転職しようとすると、難癖をつけられるケースもあるという。
「韓国大手電機メーカーのサムスン電子では、引き抜いた日本人技術者と一筆交わし、同業他社への転職を禁じていますが、盗っ人猛々しいとはこのこと。日本から技術を盗んだくせに、盗んだ情報は絶対手渡さないんですから」(前同)
国内の中国人はみなスパイ!?
実に姑息な手を使うものだが、中国のケースはより悪質だ。
「中国の産業スパイの中心は、技術テクノロジー担当である国家安全部の第10局と、経済・企業情報担当である第17局です。彼らは主に、日本の経済産業省に相当する商務部の役人や付属機関の職員としてスパイ活動をしています」(前出・井野氏)
韓国と違い、中国の場合、ほとんどが国有企業。
それだけに、産業スパイの活動は国家と一体となって行われるという。
「中国の情報収集の特徴をひと言で言うと、人海戦術。スパイを大量動員し、無制限に情報を取得させ、それを北京の科学技術情報センターに集約させるんです。対象とする情報は種々雑多。たとえば日本で新製品が出たらすぐ購入し、それを分解してデータを本国へ送るのも役目の一つ。外国製品の海賊版が中国で出回るカラクリは、そこにあります」(井野氏)
何より恐ろしいのは、盗んだ技術を利用して、日本企業よりも先に最新製品を発売し、特許まで取得してしまうことだ。
また、オンナの武器を使って情報収集する”ハニートラップ”も中国の得意技。
ネオン街のホステスにさえスパイがいるという。
有名なのが、昨年6月、陸上自衛官が中国人女性と偽装結婚し、公正証書原本不実記載・同行使の疑いで、女性とともに逮捕された事件だ。
「その自衛官は懲戒免職となりましたが、偽装結婚した女性が勤める京都・祇園のクラブでは、中国人ホステスらを雇って客から情報を聞き出していたそうです。ホステスに自社製品の設計図を見せていた客もいたほか、客が勤める企業の人事や企業戦略といった情報も流出していました」(全国紙京都府警詰め記者)
油断も隙もあったものではない。
しかも、「中国は、普通の中国人留学生もスパイに仕立て上げています。たとえば、山口県にある私立大学の東京サテライト教室に在籍していた留学生のうち、70人以上の行方がわからなくなっていますが、彼らはスパイ活動をさせられていたんでしょう」(在日中国人関係者)
そうした背景には、日本にいる中国人独特のネットワークがあるという。
元警視庁の中国語通訳捜査官で、ジャーナリストの板東忠信氏は、こう説明する。
「人脈の有る無しで人の価値が決まるのが、中国人社会。留学生などは人脈が乏しいため、自分より人脈のある人物と知り合えれば、世間話のレベルであっても、自分が見聞きした話を伝え、役に立とうとします。そこには”自分に何か問題が生じた場合、助けてもらえる”という計算があるんです」
不正が横行する中国では、権力者に便宜を図ってもらえるかどうかは死活問題だ。
得た情報を、権力のある人物に伝え、媚を売る。こうした活動の連鎖で、最終的には軍の総参謀本部や党の国家安全局にまで情報が集まるという。
結果的に、日本にいる中国人全員がスパイになり得るというのだから恐ろしい。
そして、こうした脅威は今後さらに大きくなるという。
板東氏が危惧するのは、国籍法が改正されたことによって、”日本国籍を持つ中国人スパイ”が大量発生するという可能性だ。
いったい、どういうことなのか。
「たとえば、日本人男性と外国人女性の間に子供ができると、結婚していなくても、男性が認知すれば、子供に日本の国籍が与えられることになりました。ただ、日本にいる中国人女性の多くは、一人で子供を育てられない。子供は中国に送り、親元で育ててもらいます。10年、20年後、日本国籍を持つ彼らが成人して来日すれば、日本の国会議員や国家公務員になることも可能で、機密情報にアクセスできる立場にもなり得るんです」
思想も行動も中国仕込みの”日本人”が次々に誕生するというのだ。
もちろん、まだ先の話だが、日本の機密が中国のスパイ活動に晒されているのは事実。
その最たるものが”サイバースパイ”だ。
パソコンやスマートフォンに入ったデータを盗み出すのが目的だと、坂東氏は話す。
「中国製のタブレット端末にはバックドアと呼ばれる装置があるんです。端末を使うと、この装置を通してメールの内容などの個人情報が引き出されます。セキュリティーサービス会社の実験に立ち会ったことがあるんですが、遠隔操作され、情報が抜き取られる瞬間を、実際に確認しました」
電磁波から情報が筒抜けに!
中国のサイバースパイは、より巧妙になりつつあるという。
「パソコンからは微弱な電磁波が発生しますが、その電磁波を受信することにより、ターゲットにしたパソコンの情報を抜き取ることができるそうです。指向性の強いアンテナを使えば、パソコンのあるビル内に侵入しなくても、壁を通して電磁波をキャッチし、読み取りが可能だと言われます」(井野氏)
ここまで巧妙化したら、対策の施しようもない。
「官民挙げて日本の情報流出を防ぐ手立てを考える時期に来ていると思います」(小関氏)
もはや、中韓の悪事を黙って見過ごすわけにはいかない。
今こそ、ドロボーどもを叩ッ斬る”平成の鬼平”の登場に期待したい!