「テレビが来るから走った」
日本テレビが平成18年8月に放映した情報番組「NEWSリアルタイム」で特集したJR前橋駅周辺の集団暴走報道をめぐり、取材スタッフが暴走に参加した少年らに事前に撮影予定を伝えていたことが25日、群馬県警の調べで分かった。県警は、テレビ取材が大規模な集団暴走を誘発した疑いがあるとみている。
県警などによると、特集は18年8月28日夕、「パトカー囲み集団挑発・憤激!群馬県警VS暴走族」のタイトルで、JR前橋駅周辺で改造バイク数十台が蛇行しながら集団暴走している様子を放映した。撮影は日本テレビ系の制作会社「NTV映像センター」のスタッフが担当。同7月22日深夜から23日未明、29日深夜から30日未明にかけて計2回、行われた。
県警は、2回目の撮影日の7月30日未明に集団暴走をした少年ら計23人を道交法違反(共同危険行為)の疑いで逮捕。調べなどに対し、このうち約20人の少年らが「テレビの撮影があるから来て走った」と供述し、仲間らから事前にテレビ撮影があることを聞かされていたことを認めた。
その後の調べで、1回目の撮影日に当たる同23日未明、取材スタッフが駅前にいた少年に「来週また来るからな」と伝えていたことも判明。県警は撮影の事実が少年らから次々と伝わり、「少年らの『派手に映りたい』という心理」(県警幹部)から、2回目の大規模暴走を引き起こしたとみている。
暴走後には、少年の携帯電話に取材スタッフが電話をかけていたことも通信履歴などから判明したという。
前橋駅周辺では平成15年7月4日を最後に大規模な集団暴走はなかったが、放映後の9月1日にも改造バイク約40台が集結する大規模暴走が発生。駅前ロータリーには湘南や八王子など他県ナンバーの車両もあり、県警は「テレビ放映の影響が大きい」とみている。
日本テレビは産経新聞の取材に対し、「取材予定を若者たちに伝えるような発言はしていない」と否定した上で、少年への電話連絡について「若者の家庭環境や考え方を取材したいとの意図から開始した」と説明している。
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