日中経済戦争が起これば、損失が大きいのは中国=ボイコットではダメージ与えられず―中国誌

2012年12月3日、日中関係の悪化による日本経済へのダメージが報じられているが、「日中が経済戦争をすれば中国の損失の方が大きくなる」という声も上がっている。中国誌・時代週報が伝えた。
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日中関係悪化による観光客の減少、日本車の販売不振など、中国のメディアに「日本経済衰退」の文字が多数現れるようになった。だが、中国にあるトヨタの完成車工場は、いずれも中国の国有資本が50%を出資している。しかも、中国の政府系ファンドと言われる「OD05オムニバス」が2011年にトヨタの大株主10位以内に入っており、ホンダや日産などの株式も保有している。
日中関係の緊張で、どちらへの経済的ダメージが大きいかは断言し難い。楽観的に「自信」を見せる中国人も多いが、理由としては2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を超えて世界第2位になったこと、そして日本経済の実情についてあまりよく知らないことが挙げられるだろう。
三井で12年間働いたある中国人によると、日中経済戦争で大きな損失を被るのは中国であるという。中国経済はその多くを日本に依存しているが、日本は中国だけに依存しているわけではなく、米国やカナダ、オーストラリア、新興国に大きな市場を持っている。本当の中心企業は設備製造、金融、商社だ。ソニーやパナソニックの製品をボイコットしても、日本にダメージは与えられない。
また、中国社会科学院日本研究所経済室の張季風(ジャン・ジーフォン)主任によると、中国の対日輸出品は主にミドル、ローエンド製品や中国で組み立てた電気製品であり、日本の短期的な対中輸出の減少は経済に大きなダメージを与えるが、一定の期間をおけば輸出市場はタイやベトナムといった東南アジア諸国に移る。日本の対中輸出製品は、高性能部品や鉄鋼、電子部品、工作機械などが6割を占め、他国の製品では代替の難しいものばかりだ。これらの製品の輸入が途絶えれば、下流にある企業に大きな負の連鎖反応が起こる。
中国人による日本製品ボイコットにより、損害を被った企業は日本政府の方針を変更するよう説得に走るだろうか。拓殖大学の朱炎(ジュー・イエン)教授はこう語る。
「日本の反応と中国の考え方にはズレが存在する。中国にある日本企業の損失が日本経済全体に与える影響は大きくない。日本国内では、これらの企業は多く現地生産を行い、長年にわたって利益を上げてきたと考えられており、必ずしも同情的な態度は見られない。財界が『経済界の内閣』と呼ばれた時代に比べ、日本企業の発言力は低下している。ボイコットが引き合わないと感じた中国側が自主的に取りやめるだろうと考えられている」
中国人が誇りとするGDPについても、両国の経済的実力を本当に反映したものであるとは言い難い。日本や米国は資本輸出国で、産業を国外に移転しており、経済的実力がすべて国内にあるわけではない。統計によれば、日本のGDPはGNP(国民総生産)の40%にすぎないという。
日本ではバブル崩壊からの10年間は「失われた10年」と形容されるが、張氏は「むしろ『調整の10年』、あるいは『得られた10年』と言うべきだろう。ここ10年で、日本は制度面で大きな軌道修正を行い、技術的蓄積を大量に行った。GDPに占める研究開発の割合は3.2%と、世界1位を維持しており、絶対量も米国に次ぐ額にある。経済の低迷期に技術的蓄積を行ってきた意義は大きい。現在の国際競争は生産力ではなく、イノベーションの競争だ」と語った。(翻訳・編集/岡本悠馬)

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