日光地域でツキノワグマの生態調査を行っている茨城県自然博物館(茨城県坂東市)と東京農工大は12日、日光市足尾町内で捕獲されたクマから基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える677ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。博物館動物研究室の山崎晃司首席学芸員は「ツキノワグマから基準値を超える放射性物質が検出されたのは初めてでは」と話している。
検査したクマは、8月23日に有害鳥獣として捕獲された成獣。日光市から博物館に連絡があった。複数のツキノワグマの追跡調査から、クマの行動範囲は400平方キロに及び、日光市と群馬県の片品村、沼田市などを行動していた可能性が高い。植物の新葉や花、果実、アリやハチなどの食べ物から放射性物質を体内に取り込んだとみられる。
これまで、秋田、岩手両県などでツキノワグマの放射性物質が調べられたことはあるが、基準値を超えたのは今回が初めてという。