日本大学水泳部で、3年生部員による悪質リンチが起きていたことが「週刊文春」の取材で明らかになった。9月6日、インカレ開催を翌日に控えた横浜国際プールで事件は起きた。被害者は、2年生のA君(20)だった。
水泳部関係者が明かす。
「その日、A君は部員の荷物番を任されていたんです。前日に寝つきが悪く朝方まで起きていたため、A君はつい居眠りをしてしまった。全体ミーティングでもそのことを注意されたのですが、その後、A君は誰もみていない場所で、3年生から殴る蹴るの暴行を受けたのです」
無抵抗のままボコボコにされたA君は全治2週間の怪我を負った。
A君の兄が怒りを込めて語る。
「死ぬかと思ったと、本人は話していました。左腕と胸のあたりには大きなアザがあり、肋骨は折れていなかったものの、当初は息をするのもつらかったと漏らしていた。暴行がばれない様に、顔はほとんど殴られなかったというのですから悪質極まりない。実は、昨年も弟は同じ部員から馬乗りになって殴られるなどの暴行を受けていた。何より許せなかったのは、日大が一連の暴行事件を隠蔽しているように思えたからです」
日大水泳部の監督を務めるのは、日本水泳連盟の副会長の上野広治氏(59)。これまで競泳日本代表のヘッドコーチや、連盟の競泳委員長を歴任した連盟幹部だ。
今年1月、上野監督は別の暴行問題に直面したばかりだった。
「競泳平泳ぎの小関也朱篤(26)が昨年末に代表合宿で後輩選手に暴行を働いたのです。それを受け、連盟副会長の上野氏は日本代表となった選手、指導者に提出を求めていた誓約書の内容を厳格化するなど再発防止策を表明しました」(スポーツ紙記者)
9月25日、上野監督は「週刊文春」の取材に、次のように答えた。
「事実関係を確認している段階であり、隠蔽しているつもりはありません。公表は考えていません。大学がどうするかは知りませんが」
日大は大学水泳界の名門で、東京五輪でメダルが期待される池江璃花子選手の進学が確実視されている。
9月27日(木)発売の「週刊文春」では、リンチ事件の詳細、A君の兄のインタビュー、田中英寿理事長体制で不祥事が相次ぐ日大の対応の全容を報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年10月4日号)