日本がこれから崩れ去っていく…深刻な人口減少社会で「インフラ崩壊」の本当の危機

国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。 【写真】じつは知らない、「低所得家庭の子ども」3人に1人が「体験ゼロ」の衝撃!  ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。  ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。  ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。

この30年で建設投資は20兆円減少

 建物や建築物というのは完成したら終わりとはいかない。完成後にこそ真価が問われる。だが、どこまで人口減少による将来的な需要減を織り込んでいるのかと心配になるビルや商業施設、道路などが少なくない。  国交省によれば、建物や建築物の生産高である建設投資は1992年度の約84兆円がピークだ。2021年度は58兆4000億円となる見通しで、ピーク時より30.5%減である。生産年齢人口(15歳~64歳)がピークを迎えたのが1995年なので、おおむね生産年齢人口の減少に歩調を合わせるように縮小を続けてきたということになる。  一般財団法人建設経済研究所の「建設経済レポート」(2022年3月)によれば、建築工事受注高も長らく減少傾向にあった。2012年度以降は景気回復に伴って増加傾向に転じたが、2018年度で再び頭打ちとなっている。土木工事も2018年度以降は準大手や中堅の受注高が減っている。  本格的な人口減少社会を前にしてすでに縮小傾向を示し始めている建設業だが、生産年齢人口は今後急カーブを描きながら減少していく。普通に考えれば、建設需要が現行水準を維持することは考えづらい。

老朽化による政府投資の拡大

 しかしながら、建設業の場合には明るい材料がある。政府投資の拡大が見込まれるのだ。社会インフラの多くが高度経済成長期以降に整備されており、老朽化が目立つようになってきた。更新が喫緊の課題となっている。  例えば、全国に約72万ヵ所ある道路橋梁の場合、建設後50年を経過する施設の割合は、2019年3月時点の27%から、2029年3月には52%へと跳ね上がる。  トンネルや港湾岸壁、水門といった河川管理施設なども大規模に手を入れなければならない時期を迎えている。いずれも国民の安全・安心確保や社会経済活動の基盤となっている。人口が減るからといって朽ちるに任せるわけにはいかない。  社会インフラの更新には相当な時間と膨大な予算を要するので、民間投資の縮小を幾分かはカバーするだろう。

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