日本とカナダ、蓄電池の分野で連携し供給網強化へ…資源開発や現地生産を促進

日本とカナダの両政府が、電気自動車(EV)などに使われる蓄電池の分野で連携することが分かった。近く、覚書を締結する。日本企業のカナダでの資源開発や現地生産を促進することが柱で、脱炭素化に向けて今後の需要拡大が見込まれる蓄電池のサプライチェーン(供給網)強化を図る。 【写真】一目でわかる…蓄電池の供給網強化のイメージ

 西村経済産業相がカナダを訪問し、21日にシャンパーニュ革新・科学・産業相らと覚書を結ぶ。三菱商事パナソニックエナジーなど、資源開発や電池生産を手がける企業の幹部も同行し、現地企業と情報交換などを行う。

 覚書では、日本企業がカナダで投資しやすくするため、両国が公的に支援して後押しすることを盛り込む。開発に伴う環境影響評価(環境アセスメント)など、必要な許認可の手続きが円滑に進むよう、規制当局が連携することにも言及する。資源が豊富な地域で必要となる可能性のある、日本企業と先住民の関係構築の促進も明記する。

 日本はコバルトやグラファイト(黒鉛)、リチウムなど、重要鉱物の多くを、中国や南米などからの輸入に依存しており、黒鉛は約9割を中国から輸入している。カナダは黒鉛やリチウムなどの豊富な資源を持っており、日本は中国への依存を減らし、経済安全保障の強化につなげたい考え。

 カナダは、日本の自動車メーカーが主力市場と位置づける米国に近く、カナダでの電池や関連素材などの生産は北米で販売増加につながる可能性がある。米国は「インフレ抑制法」で、北米でEVや電池を生産する企業を優遇しており、今回の連携は日本企業の北米ビジネスの拡大を支援する狙いもあるとみられる。

 政府は2022年にまとめた「蓄電池産業戦略」で、日本企業の生産能力について、30年までに600ギガ・ワット時を確保する目標を掲げている。20年の20倍となる高い目標で、資源の確保に向けてアフリカ諸国との協力も深めている。

 また、両政府は、カナダが強みを持つ量子コンピューターなどの量子技術などについても、協力強化の覚書を結ぶ方針だ。

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