日本の「はたらく幸せ実感」は世界18カ国・地域のなかで最下位――そんな調査結果を、株式会社パーソル総合研究所(東京都港区)が発表しました。「グローバル就業実態・成長意識調査 −はたらくWell-beingの国際比較」と題した本調査は、「日本のはたらく幸せ実感は低い理由」を分析したといいます。
調査は、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)および、欧米地域を含めた世界18カ国・地域に3年以上在住し、就業している20〜69歳の男女(国・地域ごとに約1000人)を対象として2022年2月〜3月の期間にインターネットで実施されました。
なお、調査対象国は、日本(東京・大阪・愛知)、中国(北京・上海・広州)、韓国(ソウル)、台湾(台北)、香港、タイ(グレーターバンコク)、フィリピン(メトロマニラ)、インドネシア(グレータージャカルタ)、マレーシア(クアラルンプール)、シンガポール、ベトナム(ハノイ・ホーチミンシティ)、インド(デリー・ムンバイ)、オーストラリア(シドニー・メルボルン・キャンベラ)、アメリカ(ニューヨーク・ワシントン・ロサンゼルス)、イギリス(ロンドン)、ドイツ(ベルリン・ミュンヘン・ハンブルグ)、フランス(パリ)、スウェーデン(ストックホルム)となっています。
調査の結果、「はたらく幸せ実感度」が高い順に「インド」(92.6%)、「インドネシア」(90.5%)、「フィリピン」(90.1%)となった一方で、「日本」は49.1%で最下位となりました。
この結果を分析したところ、日本の組織文化は、「韓国」(53.3%)と並んで「上層部の決定にはとりあえず従う」「物事は事前の根回しによって決定される」といった「権威主義・責任回避」が比較的高いことが判明。また、「権威主義・責任回避」が強い国ほど、場合、就業者、特に非管理職のはたらく幸せ実感を低下させ、不幸せ実感を高めている遠因になっていることがうかがえたといいます。
「日本」の異質な他者への寛容性をみると、「自分とは考え方や好み、やり方が違う人とも積極的に関わる」では、日本は19.4%が「そう思わない」と回答した一方で、「考え方や価値観の異なる人とは付き合わないようにしている(肯定ほど非寛容)」では、32.5%が「そう思う」と回答しており、日本は、異質な他者と積極的に関わろうとはしないが、進んで付き合いを避けることもしないという特徴がうかがえます。
また、日本の就業者の「寛容性」は18カ国・地域の中で2番目に低く、就業者の寛容性(異質な他者への非排他性)が高い国・地域ほど、はたらく幸せ実感が高いことから、異質な他者と積極的に関わろうとしない傾向が、職場における相互尊重の組織文化が低くなる要因であることが推察されます。
最後に、「仕事や働き方の選択肢」について、日本は他国と比べ、学習投資をしていても仕事や働き方の選択肢の増加に繋がらない傾向があることが判明。また、所得者、正規雇用者、高学歴者ほど業務外学習を実施している傾向がみられ、学習・自己啓発やその支援がホワイトカラーのエリート層に偏ってきたことが指摘されているといいます。
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調査を実施した同社は「成長実感はいずれの国・地域でもはたらく幸せ実感と相関しており、これらの点も日本のはたらく幸せ実感の低さと関連すると考えられる」と分析している。
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【出典】
▽パーソル総合研究所