日本の会社だと思ったら、実は外資企業!?

海外投資家の株主としての存在感に注目

 日本株における海外投資家の存在は大きいといわれています。実際に、総売買代金に占める海外投資家の売買比率をみると、2012年は52.2%だったのが、2021年には69.6%(出所:東京証券取引所 投資部門別売買状況 東証第1部)と、大幅に増えています。

 売買比率での存在感は高まっている一方で、株主としての存在感はどのようになっているのでしょうか? 日経平均採用銘柄の寄与度の高い上位30銘柄について調べてみると、次のようになっています。

(表1)外国人持ち株比率

*対象は日経平均株価に対する寄与度の高い上位30銘柄(2022年8月19日時点)。
*リクルートホールディングスは2014年10月上場のため、2009年3月期のデータがありません。
*濃いピンクは外国人持ち株比率が50%超、薄いピンクは33.34~50%。
出所:有価証券報告書を基にマネーブレインが作成

 表1において、ファナック、オリンパス、ソニーグループの3社が、13年前には外国人持ち株比率は50%未満だったのが、直近では50%を超えています。ファナック、オリンパス、ソニーグループといったら、皆さんも日本を代表するグローバル企業という印象を持っていると思いますが、株主構成からみると日本の企業ではなく、実は外資の企業となっているのです。

 外国人持ち株比率が33.34~50%、50%超の企業数とその割合をみると、この13年間での変化は次のようになっています。

(表2)表1における外国人持ち株比率の高い企業の割合

*リクルートHLDGは2014年10月上場のため、13年前の企業数には含んでいません。
*エムスリーは、親会社の持ち分を勘案し、13年前は33.34~50%、直近は50%超としています。
出所:マネーブレインが作成

 外国人持ち株比率が33.34%以上の企業数は13社から20社に、そのうち、50%超の企業数は2社から5社に増えています。

 33.34%以上(3分の1以上)の意味するところは、株主総会における特別決議を阻止することができるということです。特別決議は、定款の変更や解散や合併、事業譲渡などが可決される決議で、これを阻止できるということです。

 50%超の意味するところは、株主総会における普通決議で可決することができるということです。普通決議は、取締役の選任・解任、自社株式の取得、配当金などが可決される決議です。

 現在、米中の対立や、ロシアのウクライナ侵攻などがあり、経済安全保障がいわれています。自分個人の資産運用にとどまらず、自らの投資が国の安全保障にどのように関わっているのか、関わることができるのかという観点から、この機会に一度、考えてみるのもよいのではないでしょうか?

(白石 定之)

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