同書は放射能汚染のない安心な食生活を続けたいという方に、気になる加工食品の汚染濃度を測定し、食品の安全度を提示する放射能汚染対策マニュアルです。
加工食品103検体の測定結果を一挙に公開するほか、今後の汚染トレンド予測など安心できる「加工食品」を選ぶための基礎データが多く掲載されています。
農産物や海産物では、国や自治体が放射能の検出結果を統計的に整理したデータなどを公表していますが、実は「加工食品」にはそのようなデータが存在しません。加工食品業者のなかには放射能汚染された食材を「ブレンド」し、国の規制値を超えないようにする悪質な業者も存在するといいます。
日本人の主食である米に関しては「精米すれば大丈夫」とも言われていますが、精米後に残る「糠(ぬか)」に関してはどうでしょうか。
精米前の玄米に含まれたセシウムのうち、半分以上は糠(ぬか)に残留するといいます。
同書では、セシウム汚染された福島産の米糠で「糠床」をつくり、野菜を漬ける実験をしたところ、なんと米糠にあったセシウムの9割以上が野菜に移行(1キログラム当たり27.6ベクレルの糠床を使ったところ、野菜の糠漬けに同25・8ベクレルが移行)することを突き止めました。
産地を確認した野菜を使用して、家庭の糠床で漬けているからと安心していた食品が、実は放射能汚染されていた可能性があるとしたら…
さらに、米は玄米で保存されて流通し、販売直前に精米されるので、糠はさまざまな産地のものがブレンドされるのが一般的。つまり現状はセシウム入りの米糠が大手を振って流通しているような状態のようです。これでは日本古来の「糠漬け文化」は確実に衰退し、消滅してしまうかもしれない、と同書は警鐘を鳴らします。
食品の放射能を測定し続けている民間測定所「たんぽぽ舎」共同代表の鈴木千津子さんは次のように指摘します。
「今のマスコミの報道を見ていると、『風評被害』というものはまるで一般市民の過剰反応がもたらしているかのようですが、個々の商品の正しい測定値を言わないよう、国が自治体や業者を指導しているため、疑心暗鬼が起きるのです。つまり国が『風評被害』をつくっているわけです」
ちなみに、インタビューに応じたある米糠業者は、国から基準値を超えないように”複数の産地の米糠を配合し、薄めて使ってしまえ”との指導を受けていると、同書の中で告白しています。
『食品の放射能汚染 完全対策マニュアル2 (別冊宝島1883 スタディー)』
著者:
出版社:宝島社