日本の水産物禁輸、喜ぶ韓国大統領 関係悪化に批判も

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、世界貿易機関(WTO)が東京電力福島第一原発事故を理由とした韓国による東日本8県の水産物の禁輸措置を容認したことに関し、担当した公務員を大統領府の昼食会に招いて、「すごく誇らしい」とねぎらった。

 大統領府によると、文氏は7日、「国民の力になる仕事をする公務員を招く昼食会」に担当公務員3人を招待。4月のWTO決定は「朗報」だとし、「国民の健康を守るために執念で緻密(ちみつ)な戦略を展開した公務員がいたから可能だった」と称賛した。昼食会にはほかに4月に江原道(カンウォンド)で発生した大規模な山火事の消火活動で活躍した消防士らが招かれた。

 また今月2日、韓国の大手テレビ局SBSが、バラエティー番組で、日本でも知られる俳優イ・ソジンらが青森県を旅し、刺し身を食べるシーンを放送したところ、「政府が輸入を禁じているのに、不適切だ」などとネット上で批判が高まった。韓国社会では原発事故を理由にした東日本の8県の水産物禁輸には賛成の声が多い。(ソウル=武田肇)

■「関係改善策を準備」

 一方、韓国大統領府の幹部は同じ7日、悪化している日韓関係について「歴史問題をみながら改善のための対策を準備している」と述べた。韓国記者団に対して語った。6月末に大阪市である主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際に日韓首脳会談を行うかどうかについては、「検討中だ」とした。

 この幹部は「韓国政府が自ら、韓日関係が最悪だという表現を使ったことはない」と強調。「いま関係改善のために多くの努力を傾けている」と語った。

 韓国では最近、元徴用工らに対する賠償訴訟などをめぐって悪化している日韓関係について、メディアや専門家らを中心に、韓国政府が関係改善に積極的に踏み出していないとして批判的な意見が出ている。(ソウル=神谷毅)

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