日本はもはや「魅力的」ではない…深刻な人材不足でも「外国人労働者」が来てくれない現実

国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。

2040年にかけて人材が4割減

独立行政法人労働政策研究・研修機構の推計によれば、鉱業および建設業の就業者数は2017年から2040年にかけて約4割減少する。 厚労省の「労働経済動向調査」でも、人手不足を示す指標の「DI」(「不足」と回答した事業所の割合から、「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値)は、建設業では2012年から人手不足を示す正の値となり、全産業の平均を上回っている。2020年は全産業の平均よりも22ポイントも高い46ポイントに達した。人手不足が極めて深刻であることを示す数字だ。 建設業就業者の高齢化は進んでいる。2021年は55歳以上が35・5%を占め、全体の3分の1となっている。一方で、29歳以下は12.0%にとどまっているのである。全体の25.7%を占める60歳以上の技能労働者の大半が今後10年で引退すると、熟練した技術も消えていく。現在の人手不足は、同時に将来的な懸念を内在しているのである。

外国人労働者は本当に来てくれるのか

こうなると、頼みの綱は外国人労働者ということになる。とりわけ若い世代の減少が著しい地方で期待が大きい。 厚労省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」(2021年10月末現在)によれば、建設業に従事する外国人労働者は11万18人だ。2017年の5万5168人に比べると倍増している。 だが、急増の背景には東京オリンピック・パラリンピックがあった。一時的な建設需要増に対応するために、技能実習を修了した外国人労働者の在留資格を特例的に2年もしくは3年の期限付きで認めたためだ。オリンピック・パラリンピックにおいては建設期限が差し迫っていたこともあり、働く側としても“割のいい仕事”であった。コロナ禍で帰国したくともできなかったという事情も重なり、日本に滞在し続けた外国人労働者が多かったのである。 オリンピック・パラリンピックによる建設特需が終わった後も、日本政府は外国人労働者の受け入れ拡大に向けた政策の強化を図っている。 だが一方で、「WITHコロナ」政策をとる国が大勢となり、各国で外国人労働者の受け入れニーズは高まっているため、日本の建設業が必要とする規模の外国人労働者が、どれくらい来るのかは読み切れない。 もし、老朽化した社会インフラの更新が遅れ、思わぬ事故や不具合が生じたならば、社会経済活動に支障をきたす。建設業の人手不足は、建設会社の経営問題にとどまらない。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。

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