日本デビューはある? トヨタ 新型ハイエースはなぜ海外で発表されたのか

トヨタ ハイエースは全世界で624万台売れているグローバルカー

 タイの首都バンコクで、2019年3月27日から一般公開されている「バンコクモーターショー」。そのトヨタブースには、なんと新型のハイエースが展示されていました。

さすがにデカすぎ!タイ仕様の新型ハイエースを画像で見る(22枚)

 意外に感じる人もいるかもしれませんが、ハイエースは世界の約150ヵ国で販売されているトヨタを代表するグローバルモデルのひとつ。全世界で累計624万台も売れている人気のクルマです。

 もちろん、バンコクをはじめとするタイでもハイエースを驚くほどの頻度で見かけます。ただし日本とは異なり、主に見かけるのは荷物運搬用のバンではなく「コミューター」という車名の多人数乗車仕様。マイクロバス的な存在として送迎サービスや貸し切り移動、そして長乗り合いバスとしても使われています。

 日本では、多人数乗車モデルの仕様名として使われている「コミューター」ですが、タイでは荷物運搬用のバンが「ハイエース」、内装を上質化したミニバン的な乗用モデルが『ベンチュリ―』、そしてスーパーロングボディの多人数乗車仕様が「コミューター」とそれぞれ別の車名で販売しています。

 貸し切りでお客を運ぶ「コミューター」の多くは内装を豪華仕様にアレンジするという、タイ独自の文化も興味深いところです。なお、タイでは日本から部品を輸入し、現地で組み立てをする「ノックダウン生産」で市場へ供給されています。

 バンコクモーターショーで展示されていた新型ハイエースは、2019年2月にフィリピンで世界初披露されたモデル。ボディにはショート(標準ルーフ)とロング(ハイルーフ)があり、バンコクモーターショーで展示されていた「コミューター」は後者のロングタイプ。全長5915mmのボディは『とにかく長い!』と驚かずにはいられませんでした。

 新型ハイエースには1GD型の2.8リッターディーゼルエンジンと、7GR型3.5リッターガソリンが用意されるとアナウンスされています(タイのコミューターは後者と思われる)。

 そして特徴は、そのエンジンを日本の現行モデルのように運転席&助手席の下ではなく、車体前方へパッケージしたこと。これは前面衝突時に衝撃吸収ゾーンを設けるという安全上の理由からで「一部地域ではトヨタセーフティセンスを採用し、ユーロNCAP(欧州の衝突試験)の基準で 五つ星相当の性能を実現している」とトヨタはいいます。

ヨタ 新型ハイエースのコミューターは全長が6メーターに迫る

 ところで、トヨタはなぜ新型ハイエースを日本ではなく海外でお披露目したのでしょうか? その理由は、ボディのサイズにあります。

 ハイエースの新モデルはロングボディが6m(従来比535mm長い)に迫るだけでなく、ショートボディでも全長が5265mm(従来比570mm長い)もあり、全幅も従来のハイエースのワイドボディに対して70mmも広い1950mmとなっています。つまり、これまでのハイエースよりもふた回り以上車体が大きくなったのです。

 これは海外で求められるニーズを反映したもので、日本におけるハイエースの姿とは少し異なるといえるでしょう。そのためトヨタも、今回のモデルは『海外向けの新シリーズ』としており、すべてのハイエースがこの新モデルに代わるわけではないことを示唆しています。

 気になるのは日本向けのハイエースがこの新型になるかということですが、トヨタは「新シリーズは新興国を中心とした国・地域に順次投入していきます。市場環境が異なる日本においては従来モデルのハイエースを継続していきます」とコメントしています。

 つまり、タイで発表された新型ハイエースは車体が大きすぎるのです。日本国内では、この新モデルが投入されることはないとみていいでしょう。

 しかし、「H200系」と呼ばれる 現行型はデビューから14年半が経過しているので、近い将来にフルモデルチェンジを迎えてもおかしくありません。日本仕様の新型ハイエースの登場を期待したいところです。

タイトルとURLをコピーしました