増収策講じても40億円から18億円に
札幌市が所有する札幌ドーム(豊平区)の売り上げは、プロ野球北海道日本ハムが2023年度に本拠地を北広島市に移した場合、年間40億円前後だったここ数年の半分を下回り、約18億円となることが、施設を運営する市の第三セクター「札幌ドーム」などによる試算でわかった。サッカーJ1の試合増など増収策を講じる前提の試算で、経常収支は約3億円の赤字となる見通し。
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札幌ドームでは18年度、日ハムが62試合を実施。ドーム社は1試合770万円~1540万円の使用料を受け取り、広告料、飲食やグッズ販売などの収入もある。日ハム球団から直接得る収入だけで年間約13億円あり、転出で20億円超の減収が見込まれる。
昨年度はJ1北海道コンサドーレ札幌が13試合を行い、コンサートも計9日間開かれた。ドーム社は、23年度以降の収入確保策として《1》コンサの全ホーム試合の実施《2》コンサートなど大規模イベント誘致《3》ドーム内を仕切り2万人規模のイベントができる「ドームインアリーナ」(仮称)の実現《4》自主事業を増やす―など、プロ野球以外の事業を伸ばす対策を検討中。これらで3億円程度の売り上げにつながるとした。
ドーム社はこれらの対策を講じても、毎年3億円程度の赤字が出ると見込む。これまで経営は黒字基調だったが、日ハム移転後は職員の待遇の検討や、札幌市による支援も視野に入る施設となる。社員は72人で、03年春の40人の1・8倍。同社は現段階で人員整理は検討していないという。
札幌ドームの山川広行社長は、日ハムの一部試合を札幌ドームで行うよう球団に要請し、セ・リーグ試合の誘致も本格化する方針だが、球団の同意が必要で、実現性は不透明だ。