日本一低い山が残った 防潮堤計画から外れる

「日本一低い山」として知られた仙台市宮城野区蒲生の日和山が、宮城県の防潮堤計画の見直しで建設予定地から外れたことが分かった。東日本大震災の津波で上部が消失して姿は変わったが、離散した住民の心のよりどころとして今後も残ることになりそうだ。
 県は昨年5月、高さ7.2メートルの防潮堤を日和山と重なる位置に計画したが、同9月に蒲生干潟の保全のため当初案から最大80メートル内陸側に整備する方針に転換。ことし1月の計画確定を受け、工事の影響を受けないことが決定的になった。
 標高6.05メートルあった日和山は、1996年に大阪市の天保山(4.5メートル)に「抜かれる」まで日本一低い山だった。津波で大きく削られた今は、山頂付近に石が積まれ、看板が立てられているだけ。標高も定まっていない。
 震災前までは地元の中野小児童が野鳥を観察するなど地域のシンボルだった。市が学校跡地に整備を予定する震災モニュメントでも、住民から日和山をモチーフとした施設の提案が出されている。
 蒲生町内会の鈴木忠支会長は「住民が長年親しんだ山が残ると聞いてホッとしている。削られた形状を残し、震災遺構としても活用してほしい」と願う。
 日和山自体は民間の所有だが、一帯の整備について県は、干潟側へせり出す旧防潮堤(長さ1253メートル)の取り扱いと合わせて検討する。県河川課の金子潤課長は「自然保護団体や住民、学識者の意見を踏まえて考えたい」と話している。

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