日本三景・松島 100年前の絵図を復刻

仙台市の出版社「風の時編集部」は、約100年前の明治時代に制作された絵図「松島・塩竈実景」を復刻した。瑞巌寺(松島町)の改修工事完了に合わせて発行を企画。いにしえから多くの旅人を魅了した日本三景・松島の歴史を伝える貴重な資料となっている。
実景図はかつて仙台市の業者が石版刷りし、松島や塩釜を訪れた観光客に無料で配布された。実物を所有する風の時編集部代表の佐藤正美さん(52)が「観光地として古くから栄えた松島・塩釜の魅力に触れてほしい」と復刻を決めた。
表面に松島湾や塩釜の街並みを紹介する絵図が描かれ、東京から青森までを結ぶ鉄道路線図を周囲に配置。裏面には滞在時間に合わせたお薦めの周遊コースや見所のほか、宿泊所、船賃などが記され、ガイドブックの役割を果たしている。
「当時は仙台に宿泊した観光客が塩釜神社などの名所を回った後、松島湾を船で巡るのが定番コースとされた」と話すのは、復刻に協力した仙台市教育委員の木村浩二さん(62)。「一度は訪ねたいあこがれの観光地だった」と説明する。
東日本大震災の津波で、松島や塩釜も大きな被害を受けた。海岸線や建物などの一部が消失し、昔の名残をとどめる古地図への関心が高まっているという。佐藤さんは「往時の風景や文化を知り、これからのまちの姿を考えるきっかけにしてほしい」と話す。
実景図はA1判で、携帯できるサイズに折り畳まれている。1部1300円(税込み)、計500部を印刷した。市内の書店で販売しているほか、郵送にも応じる。
連絡先は風の時編集部022(295)9568。

タイトルとURLをコピーしました